6月3日 うどんを求めて林道ツーリング


 埼玉・長野県境 三国峠 中津川林道

 そういえば今年はまだ『藤屋』のうどんを食べていない。考えてみると去年もだ。久しぶりに食したいと、思いたったが吉日、さっそくでかけた。

 

 


 うどんを求めて百数十キロ、群馬県の山のなかへ。当日は鮎釣りが解禁されて初めての土曜日で、川はたいへんな賑わいだった。川は釣り人と車で埋めつくされていて、後からきた人が釣り場を得るのは困難な状況。こんなにたくさんならんで釣りをして、鮎はかかるものなのかと、鮎釣りはしない私は考えてしまった。


 

 藤屋は群馬県上野村の山奥にある。到着するとなんと休業だった。長期間休むと張り紙がしてあって、どうしたのか心配だ。ここはメニューはふたつしかない。うどんと刺身こんにゃくのみ。うどんは山菜の天ぷらののった天ぷらうどんで、男でも食べるのに苦労するほどの量の、極太の手打ち麺の大盛りに、かつお風味を強くきかせた味わい深い出汁をつかっている。料金は格安の500円だ。席につくとお茶と漬物がだされるが、この漬物も美味い。酒かビールを注文すると、自家製のきれいな刺身こんにゃくがサービスで大量についてくる。もちろん私は運転するので、ここで飲んだことはありません。念のため。

 早いと11時過ぎに売り切れになってしまう人気店で、地元よりもとなりの長野県からのお客のほうがおおい店だ。興味のある人にヒント。国民宿舎やまびこ荘の向かいだが、休業、売り切れでも知りません。 

 

 

 

 この付近はうどん文化圏で、どこも手打ちで美味しくお安いのだが、TMにのっていて、たまにTVでも紹介される『木古里』のうどんを食べたことがない。この機会にいってみた。

 途中で立ち寄ったのが、天空回廊、とネーミングされているスカイブリッジ。上野村の不二洞という鍾乳洞のしたにある、高さ90メートルの巨大吊り橋だ。このあたりはよく渓流釣りにきていたのだが、いつも釣りに夢中で見たことがなかった。料金は往復100円なり。橋をわたった先にはコテージの整備された施設があり、ここで休暇をすごしたら気持ちよさそうだった。 

 

 

 

 R299を志賀坂峠方向、秩父方向に右折して、『木古里』につくとなんとここも休業だった。これではうどん難民だ。それではと、12・3年前に一度はいり、美味しかった記憶ののこっている『神高屋』に転進した。

 木古里からはすぐである。恐竜センターの下だ。店にはいり、山菜うどんと椎茸ご飯、サラダのセット、『山中セット』940円を注文した。味は中の上。しかし値段のわりにはお得感がつよく、接客はよい。気持ちよく食事をすることができた。以前きたときは男性が店を切り盛りしていたが、いまは女性ふたりでやっている。奥さんにしては若いから、娘さんなのだろうかと、想像しながら店をでた。

 

 

 

 近くにどこにぬけるのか気になっていた道があった。東福寺の横をいく舗装林道だ。探索にいってみると6.7キロ先で土砂崩れのため通行止めと表示されている。興味をひかれていってみた。

 現場ではコンクリートで固めた山肌が崩壊していた。規模は小さな土砂崩れだが、この道の利用価値は低いので、復旧は後回しにされている感じ。迂回路はたくさんあるからね。

 ふたたび『木古里』のまえを通ると、3人のライダーが店のまえでガックリと肩をおとしている。ここにも新たなうどん難民が発生だ。

 

 

 R299を志賀坂峠にむかっていくと、恐竜の足跡のついた岩、『さざ波岩』がみえてきた。上部のふたつの丸い穴と、真ん中あたりの縦の線状のものが足跡だ。太古には浅い海だったそうだ。これも止まって見たのははじめてで、いつも通り過ぎながら一瞥するのみだった。

 

 

 志賀坂峠をこえて埼玉県にはいった。全面舗装の金山志賀坂林道にはいるとガスが発生。視界がわるくなるなか山奥にわけいっていく。じつは数年前にはいるのをためらって引き返したトンネルがあるのだ。その敵討ちにむかう道行なり。

 

  

 件のトンネルの手前で、もっとすごい奴の洗礼を受けてしまった。ここは八丁トンネル出口。トンネルにはいると真暗で、出口どころか足元さえもよく見えない。手探りですすむが、距離がながく、暗闇のなかを低速で前進するのはとても不気味だ。私には霊感はないのだと、自身に言い聞かせなければならないほど。ほうほうの体でトンネルをぬけると、こちら側には霧はなく、晴れわたっている。トンネルの出口からはむこう側の霧がわきだしていて、幻想的だった。

 すすむと、ニッチツ鉱山の工場地帯にはいった。工場施設と鉱山住宅のなかをぬけていく。建物は全体に古く、減価償却しきったものばかりで、廃墟と化した住宅も多い。昼だから平気だが、夜にきたら肝試しができそうな、独特の雰囲気だ。

 

 

 そして問題のトンネルに到着。前回は反対方向から来て、素掘りの狭いトンネルに圧迫感をおぼえて、はいるのをやめてしまったのだ。壁面はコンクリートで固めてあるが、でこぼこに波打っている。そしてなぜか、クギのようなものが一面に埋めてあるのだ。不気味でしょう? しかし八丁トンネルを通ってきているので、出口の見えているこのトンネルはなんてことない。あっけなく通過してしまった。

 

 

 山をくだって県道にでたが、この先には中津川林道がある。今年はまだ林道を走っていないので、三国峠までの19キロの林道をピストンすることにした。

 途中にふれあいの森という施設があり、立ち寄り湯ができる。帰りに寄ろうと考えて林道に突入。はじめはフラットの走りやすい道だが、急坂になったり、深ジャリや岩盤、泥など路面はバラエティーに富んでいる。そこを軽快に走っていった。

 

 

 40分ほどで三国峠に到着した。ずっと登りだったので走りやすかった。帰りはくだりなので肩に力がはいったが、すぐに慣れた。途中で2サイクルのオフローダーとすれちがったが、彼はいかにも乗れていた。林道を疾走していた。

 ふれあいの森にもどると、入浴は16時までとのことで終わっていた。残念だ。このあと渋滞する秩父の街をぬけて帰路についた。藤屋にはまた行かねばならぬ。

 

  

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