2011反・自粛ツーリング 茨城

 

 茨城県那珂湊漁港

 

 4月に入りスギ花粉のピークはすぎた。花粉症の私は辛い症状がやわらぐとツーリングにでたくなる。例年なら暖かいところ、房総や伊豆などに向かうのだが、震災のあった今年は、被害を受けて、さらに原発事故の影響で人があまり集まらないところに行きたいと思う。何の助けもできないが、少しでも地域の足しになればと感じたのだ。

 日曜日の朝、気温は18℃になるというので薄手のセーターを着て走りだした。目的地は茨城県の那珂湊あたりと漠然と決めている。海辺で昼食をとりたいと思ったのだ。まず東北道に向かうが、休日ETC1000円を利用したいから、埼玉県の羽生ICにむかった。

 羽生の手前の加須市には、福島原発の事故で双葉町の方が避難している騎西高校があった。今まで高校があることさえ知らなかったが、国道横のそこを厳粛な気分で通過した。校舎には、がんばれ 東北 がんばれ 日本、の文字が掲げてあった。

 東北道に入る前から感じていたのだが、18℃と暖かくなるはずなのにそうならず、寒いのだ。その寒さは高速を走行するといや増して、辛くなってくる。それもそのはず18℃のはずが道路脇の気温表示は11℃となっているではないか。天気予報がはずれたと文句を言いつつ走るが、バイクで北にむかえば寒くなるかもしれないのは予測しなければならないことで、しばらく家にこもっていたらそんなことまで忘れてしまったのかと、我ながら呆れつつ走ることとなった。

 とにもかくにも都賀JCTで北関東道に入り、東の水戸にむかう。栃木から茨城に入ると、途端に住宅の瓦が壊れている。ブルーシートで屋根を補修した住宅が点々とあり、それが延々と続くのだ。そして北関東道は片側二車線のうちの一車線が工事中だ。その工事が12キロも続くので何だとろうと思ったら、地震でひび割れた路面を修理しているのだったが、その長さに驚いてしまった。

 あまりに寒いので笠間SAで休憩をとった。なにしろ体が冷え切っていいるから暖かいものをとりたい。コーヒーを飲もうかと思ったら、具沢山のけんちん汁300円がある。これを食べて温まることにした。けんちん汁は美味しかったが、これを売っていたおばさんは、道路は混んでいましたか?、と聞く。そうでもないですよ、と答えると、そうですよね、と言っていたが、震災で観光客が少ないのはどうしようもない、それでも頑張る、という気持ちが伝わってきた。

 那珂湊ICで高速をおりた。水戸・那珂湊間は有料道路だが無料実験中で、その先は有料になるとのことで、急ぎ高速を捨てたのだった。那珂湊港にむかうと通行止めの道路がある。道路が陥没していて走行が不能だ。そこを避けて那珂湊に着くと、港は冒頭の写真のように何事も無かったのごとくそこにあったが、人気は無い。よく見れば港のあちこちに地震の痛みがあった。

 市場が見えているので行ってみると、一軒の水産会社だけ営業をしていた。他の会社は建物や設備に被害がでていてまだ仕事を始められないようだ。店頭に並んでいる魚を見ると、北海道産やロシア産などで近海物はない。いちばん近くて千葉産のスズキがあるのみだ。こちらの会社は苦難を乗り越えようと社員が一丸となって頑張っていた。食堂も併設しているので利用したいと思うが、11時30分でまだ腹が空かない。心残りだが海沿いを北にすすむことにした。

 那珂湊から阿字ヶ浦をへて常陸那珂港の北埠頭に迷い込む。この先は東海村になるし、そのさらに先は物見遊山で近づく場所ではないと思うので、南に進路を変えて戻ることにした。

 

 

 立ち入り禁止の大洗フェリー・ターミナル

 

 ちょうど空腹にもなったので、先ほどの那珂湊の食堂にもどると行列している。待つのは嫌なので大洗にすすむことにしたが、たくさんの観光客が並んでいるのを見て、なんだか私もホッとしてしまった。大洗海岸は行楽客でにぎわっている。たしかにここは気持ちのよい海岸で、家族でピクニックをするのによいところだ。大洗公園の前にホテルや旅館が集まっている場所があり、食事がとれるので、海を見ながら食事がとれると言う『旅館 小林楼』にはいった。

 

 

 刺身定食 1500円

 

 時間は13時だが他に客はいない。ロビー横の海の見えるラウンジで刺身定食をたべた。刺身は地のタコにハナダイ、コハダ、マグロ、ヤリイカで、前の海でとれたというヒジキの小鉢がつく。このヒジキは私の知っている一般的なヒジキとはまるで別のものだったが、これが本物なのだろう。このラウンジからは海に出ることができて、食事の前に散策をした。砂浜には津波でさらわれた漁船が大破していたが、それ以外は驚くほどきれいに片付けられていた。

 

 

 鹿島スタジアム

 

 料金を払って小林楼を出発した。鹿島灘沿いを南下してゆくと、鹿島スタジアムが見えてきた。言わずと知れた鹿島アントラーズの本拠地だが、被災して修理中だと聞いている。再来週にJリーグは再開されるが、スタジアムが被災して使用できないのは、鹿島と水戸、そして仙台だ。ここも早く復興してほしい。しかし鹿島には住金の大工場しかない。町らしい町はないから、よくここでアントラーズのようなビッククラブが育ったと感心した。サポーターは茨城中から集まるのだろうか。

 鹿島から千葉県の佐原に入り、利根川沿いの国道をすすむ。ここも住宅の瓦が割れているが、川の近くの土地が液状化していて、道路が損壊している。液状化は千葉の埋立地の浦安ばかりが報道されているが、こんなところにもあるのである。通行止めの国道を迂回してすすみ、柏をぬけて帰宅した。

 

 

 

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