2011年 真冬のマス・ツーリング 千葉

 

 

 集合風景

 

 10代の頃からの友人の熊さんに誘われて、久しぶりにグループ・ツーリングに参加することにした。いつもソロでしか走っていないし、前に集団で走ったのはDR650オーナーズ・クラブの林道走行会で、DRの皆さんはベテランばかりだったが、今回は初心者の方も多いらしい。どうなるのかと危惧するところはあったが、参加してみると楽しくて、ハプニングもあり、充実した今年の初乗りとなった。 

 集合場所は千葉県の湾岸道・幕張PA。1月23日の朝9時だ。この季節、いつもはバイクに乗らないことにしている。だって寒いから、無理して走っても楽しくないでしょう? したがってできる限り着込んで防風対策をとり、つま先用のホッカイロを買ったのにそれは忘れて走りだした。

 真冬の朝の首都高を時速100キロで走る。気温は2・3℃か。防寒対策がきいて意外にも寒くない。ホッカイロを忘れたつま先が冷えるのと、手の冷たさを感じるくらいである。そしてバイクが多く走っていておどろいた。皆さんこの時期も走っているのね。そして首都高の下の荒川ではジェット・スキーをやっている輩がいて、この寒いのにまったくと絶句したのだった。

 葛西で千葉に入るがこの先の幕張まで距離があり、集合時間が気になって速度を上げて走った。幕張PAにもバイクがたくさん集まっていた。皆さんどこにいるのかと探すが、手がかりは熊さんのバイク、滅多にないスズキDRビックである。そのバイクを見つけて無事初対面の皆さんと合流することができた。

 

 熊さんのDRビック

 

 集まっているのはオン・オフの様々なバイクと、50代から20代の男女だ。私が知っているのは熊さんのほかはシェルパのへーめんさんとホーネットの磯兵衛さん、ヤマハの800のローズさんだけで、他の方ははじめましてだった。

 主催者のK−1さんから参加者の紹介と次の集合場所は君津PAと説明があり、そこまで自由走行となる。自由走行はよい。千鳥走行でずっといっしょでは息苦しいから。自分のペースで走り君津に移動した。

  君津でふたりの方が合流し、次は昼食場所の勝浦式坦々麺で有名な江ざわというラーメン店までまた自由走行となった。この運営はじつによいと思う。グループで走りたい人は集まって行き、ひとりで走りたい者はそうする。そして私は熊さんのDRビック、BMW650GS、そして昨日納車されたばかりだというBMWF800GSの限定車のビック・オフ4台で飛ばした。じつはF800GSが前から気になっていた。1200GSでは大きすぎるが、800ならちょうどよいのではないかと思ったりしていたのだ。

 

 

 勝浦式坦々麺の店 江ざわ

 

 11時に江ざわに到着した。外観はバラックのような店なので大丈夫なのかと思う。しかし人気店のようで客は次々にやってきて、開店の11時30分前には行列ができていた。坦々麺が名物とのことなのだが、私は辛いのは苦手だ。そこでチャーシュー麺800円と餃子400円にしたが、味は中の下か。特にラーメンのタレは市販のものではないかと感じられた。皆さんの坦々麺は美味しいとのこと。

 

 

 林道へG0

  

 食後は北の山間地に移動。オンの方はワインディングの練習をするそうで、オフ組は林道に入ることにする。熊さんを先頭に林道に突入する。千葉の林道らしい手掘りのトンネルがあって写真をとってすすむ。林道の横には綺麗な沢が流れていた。

 

 

 手掘りのトンネル

 

 林道やトンネルの写真をとりながら行くので私が最後尾だった。やがて路面はヌタヌタが多くなり、ついにトンネルの中がヌタヌタのV字路面となり、ここでモタードの方が転倒してしまった。ただ怪我やバイクの損傷はなく、泥で汚れただけで済んだ。

  熊さんは途中で止まっていた。ひとりになって飛ばそうと考えているようだ。集団は先に進むが林道は行き止まりになってしまう。引き返そうとしていると、熊さんのバイクの大きな排気音がした。ブオーン、という空ぶかしのような音だ。もしかして転んだのかなと思って引き返してみると、熊さんは崖下にバイクを落としてしまっていた。カーブを曲がりきれなかったそうだ。怪我がなく、バイクも壊れなかったことがなによりだが、落ちた崖は急で、とても押し上げられない。なにしろDRビックは重い。そこで他のルートを探すことにして沢を下ってみると、100メートルほど下に獣道があり、これが林道につながっているから、ここを行くことにした。

 

 

 沢をわたる

 

 しかし簡単にはいかない。沢を下るのも倒木をよけて何度も川をわたり、岩を、土手を越えて進まねばならない。半クラでアクセルを開けながらいくから、バイクを押す者は後輪の巻き上げる泥と水をかぶり、川の水で靴の中がびしょ濡れだ。交替でやるも、皆汗だくのヘトヘトになった。

 

 この獣道をいくしかない

 

 沢をくだってようやく獣道の入口についた。この獣道はじつに狭く、下手をするとバイクを右下の藪に落としてしまう。そうなるとバイクの回収が非常に困難になるので、それだけは避けようという相談になった。そこで道の上下に人が入り、バイクがずり落ちないように力ずくで支え、少しずつ進むという方法をとった。

 

 力ずくで押し上げる

  

 バイクの下は足場が悪く踏ん張れない。それにバイクは熱いから手を置く位置に苦労して押し上げた。上の人はバイクを力ずくで引き上げて、前に進めている。これだけ人数がいてよかった。半分しかいなかったなら、無理だったと思う。

 

 林道にたどりついた 皆の背中が疲れている

 

 集合場所にもどり、再び林道に行くことにするが、参加者は減り、BMW650GSのJerryさんとF800GSのでんこさん、シェルパのへーめんさんと私で行くことにした。入ったのは田取林道だと思う。フラットダートだということだったのだが、スタートはガレガレの急坂だ。

 

 ここはまだガレていない

 

 深く路面が掘れてしまっていて、ルートを選んで進まなければならない。苦戦していると、軽いシェルパに抜かれてしまった。私よりも苦しそうなのは更に重いF800GS。このバイクが気になっていたが、林道を走ることを考えると厳しい感じだった。

 

 やがてフラットになる

 

 急坂を登りきると林道はフラットになった。路面も砂利ダートで走りやすい。走ってみればわずか3キロほどのオフ・ロードだった。集合場所にもどり、そこで解散となった。参加の皆さんは自宅の方向によって、アクアライン組と湾岸組に分かれる。そしてここからも自由走行となった。

 

 田取林道

 

 私は湾岸組である。皆さんと走るが、館山道に乗るとすぐに渋滞だ。マナーのよい皆さんは車の後ろに従うが、短気な私はバイクの機動力を生かすことにした。集団から離脱するとF800GSのでんこさんがついてくる。しばらくでんこさんと走るが、でんこさんは私よりもバイクの能力を発揮させて先行された。

 一度もとまらずに湾岸道の幕張を通過して首都高に連絡し、無事に帰宅した。