2017北海道トランポ林道ツーリング3日目

 

 フェリーの船倉

 

3日目 士幌高原ヌプカの里へ  

 3時に目がさめた。隣りのブリーフ・ライダーがビニール袋をガサガサやっている音が耳について起きたのだ。うるさい奴だなと思ってトイレにゆく。音はたてないが客の半分は起床していて、上陸の準備をはじめている。私も荷物をまとめるが、ガサガサやらないようにした。

 3時30分に放送が入った。フェリーは定刻の4時30分に小樽港につく予定で、小樽の天候は晴れ、気温は15℃とのこと。15℃とは驚きだ。昨年は18℃だったのだが、それでも涼しくて北海道らしいと思ったのだ。今年はそれよりも温度が低かった。

 4時20分に案内があり車から下船開始とのこと。ブリーフ・ライダーと目もあわせずに寝台をでてハイエースの元にゆく。バイクの固定を確認するとまったく問題はない。オートバイの積載については自信がついた。

 今年は宿泊地を2ヶ所と決めてあった。昨年は3ヶ所にしたが、それでは旅が深まらないと感じたからだ。1ヶ所は士幌高原ヌプカの里でもうひとつは屈斜路湖付近である。ここをベースにして周辺の林道を走る予定だ。今年は『林道ツーリングガイドブック2017〜2018』(以下林道ツーリングガイド)という本を持参していて、そこに紹介されている未走行の林道にもゆくつもりだった。

 時間がかかり4時55分に船をおりた。志幌にむかうが夕張まで下道をつかうつもりだ。スマホ・ナビにルートを検索させると、780円で一部高速を利用するコースを提示してきたので、これを採用することにした。

 フェリーは安い新潟便をえらんだと前に書いた。フェリー代が安価でも高速代が余計にかかっては元も子もないともだ。大洗ー苫小牧便にのっていたら、夕張まで一般道でゆくと思うので、同じようにしたのである。

 腹が減っていれば鱗友市場で朝食をとろうと考えていたが、まだ朝が早くて食欲がない。北海道は食堂が少ないのだが、コンビニを利用すればよいだろうと思って出発した。

 札樽道にはいり大都会の札幌をぬけてゆく。ナビの指示で大谷地ICで高速をおりると料金は780円ではなく860円と表示された(小樽ー札幌西本線570円+290円)。ここから国道274号線をすすんでゆく。そろそろ朝飯をたべたくなったが、予想通り北海道には牛丼店などの店舗がない。ならば北海道のコンビニ、セイコー・マート(以下セイコマ)にしたいがまだ開店していなかった。6時オープンの店が多いのだ。そこでローソンの北広島店にはいり、カップヌードルのカレーを買った。外気は涼しかった。

 ふたたび国道274号線をゆくと道の駅マオイの丘があったので休憩する。ここは涼しいどころか寒かった。15℃なかったのではなかろうか。道の駅の駐車場には車中泊をしているキャンピングカーが数台いたが、寒々しく見えた。

 夕張ICから道東道にはいった。1車線の高速道路を90キロで走行していると、後ろからきた車に追いつかれる。バイクを積んでいるからこれ以上スピードをだしたくないのだ。後方に自動車がならぶのは気になるが、所々に追い越し車線がつくられているので、そこで速い車は先に行かせた。

 占冠で高速をおりた。料金は760円だ。国道の日勝峠は昨年の台風の影響で通行止めとなっている。その代替道路として道東道が無料で利用できることになっているのだが、タダになるのは占冠ー十勝清水で乗り降りしたとぎけなのだ。去年はそれを知らずに走行し、通常料金をとられて驚いてしまった。どうしてなのかと調べてみると、占冠ー十勝清水で乗り降りしなければ適用されないと知り、詐欺にあったような気分になった。

 占冠で道東道をでたが、中央分離帯がふさがれていて、高速の導入路でUターンができないようにしてある。国道にでても「Uターンご遠慮ください」と看板がでているが、どうせUターンをするのだから、もっとやりやすくすればよいのにと思う。これではかえって事故を誘発しかねず、危険だ。

 ふたたび占冠から道東道にはいりトンネルばかりの道をとおって十勝清水で高速をでた。料金は990円と表示されたが無料となった。

 高速は楽だが眠くなってしまった。士幌高原ヌプカの里にむかう。距離は約50キロだ。国道274号線をすすむと広大な農地があらわれた。これぞ北海道、これが十勝、という風景で北海道にやってきたなと実感した。瓜幕の道の駅で休憩する。ちょうど9時で道の駅がオープンしたところだ。売店を見にゆこうかと思ったが、早くバイクにのって林道にゆきたいのでやめておく。ここは馬がいて乗ることができるようだ。

 モンシロチョウが多くなった。道路脇から路上にフラフラとでてくる。蝶はペアで舞っているので、その一方でも撥ねたくないから、右に左にハンドルを切ってすすんだ。

 

 士幌高原ヌプカの里 

 

 9時20分にヌプカについた。キャンプをしている人はいなくて車もとまっていない。ロッヂに野営の申し込みにゆくと10時からなので、バイクをおろして出発の準備をすることにした。

 ラダーをセットし、念のためにタイダウン・ベルトで車に固定してバイクをおろす。バイクを下ろすのは、のせるときよりも難しい。後ろ歩きで、ハンドルを切りながら坂をおりるからだ。バイクをラダーから落とすと、オートバイは壊れるし痛い目にもあうから、慎重の上にも慎重に作業をした。

 DRはハイエースにのせるためにスクリーンとバックミラー、テールボックスをはずしてあるのでこれらを取りつける。テールボックスには前後のタイヤ・チューブやパンク修理道具、それにスペア・パーツが入っていてけっこうな重量だ。この他にタンクバックには地図と雨具がいれてある。1年振りにロング・ブーツをはいて身支度をととのえると10時になっていた。

 ロッヂにいって宿泊の手続きをする。料金は1泊500円で以前の300円から値上がりしていた。連泊するつもりだが、昨年の別海ふれあいキャンプ場のようなとんでもない管理人がいると旅が台無しになるので、ようすを見るために1泊だけ申し込んだ。しかし受付をしてくれたのは純朴な印象の若い女性だし、まだ10時だからチェックインには早いなどとうるさいことは言わないから、大丈夫のようだ。連泊するかもしれないと告げてロッヂをでた。

 雄大な景色のひろがるヌプカはお気に入りだ。ここにしてよかった、ここが大好きだ、と思いつつバイクのエンジンをかける。DRはキック2回で始動した。DRも北海道にこられてご機嫌のようだ。

シートカチ林道・秘奥の滝線へ 

 走りだすと寒い。とくにジーパンだけの足がスースーする。カッパのズボンをはこうかと思ったがやがて慣れた。バイクにはガスが十分にはいっているが念のために満タンにしたい。ヌプから山をくだって瓜幕のGSにゆくも日曜で休みだ。そこでさっきやってきた鹿追までもどって給油をした。20、1K/L。単価は129円。

 トムラウシ山の南にあるシートカチ林道とレイサクベツ林道にむかう。レイサクベツ林道には秘奥の滝というすばらしい名前の滝があり、秘奥の滝線とも呼ばれるのだが、ここは何年もたずねていないので、ゆくのを楽しみにしていた。

 瓜幕から屈足にすすみ道道718号線にはいって北上する。屈足にはパンケニコロベツ林道とペンケニコロベツ林道という、共に30キロを超える長距離林道があり、これからゆくシートカチ林道とも接続しているのだが、両方とも崖崩れで通行不能だ。この2本の林道はこの地域だけでなく、北海道を代表するダートなので早く復旧してもらいたいと思う。

 道道718号線を北上してゆくとオソウシ温泉につづくオソウシ林道の入口がある。ここも今日走る予定だが、まずシートカチ林道とレイサクベツ林道にむかう。その先に国民宿舎の東大雪荘があり、、この付近で唯一食事をとることができるのだ。時刻は11時で2本の林道を走破したら東大雪荘で昼食をとり、オソウシ林道にもどってくるつもりだった。

 東大雪湖につくと北からオソウシ温泉にアクセスする屈足オソウシ当別林道の入口がある。ここにオフロード・ライダーがふたりいて彼らとは手を上げあった。モンシロチョウがとても多い。次からつぎへとあらわれる。彼らを傷つけないようにバイクでもスラロームをしていった。

 

 

 曙橋手前 ヌプントムラウシ林道の入口

 

 北上をつづけて曙橋にでた。橋の手前がヌプントムラウシ温泉にゆくヌプントムラウシ林道の入り口だが、道路決壊のため通行止めの看板がでている。復旧時期は未定とあるが、この道は廃道になることが決まったと聞いている。林道を走った先にあるワイルドな野湯が好きだったか残念だ。

 曙橋をわたったところにシートカチ林道の入口がある。ここにも通行止めの案内がでていた。林道決壊のため秘奥の滝までゆけませんと。秘奥の滝はシートカチ林道からレイサクベツ林道をつないだ先にある。だから秘奥の滝にゆけなくとも、シートカチ林道は走行できて、18キロ先にある奥十勝峠にはいけるのではないかと判断した。

 11時45分にシートカチ林道にはいった。今年の北海道ツーリングで1本目のダートだ。ヒグマの気配がないか注意してゆく。シートカチ林道は走りやすい道だ。締まったジャリ道をすすんでゆくと車が1台、また1台ととまっている。山菜取りか釣りかなと思っていると釣人がいた。ひとりでエサ釣りをしているが、熊は気にならないのだろうかと思った。

 

 

 林道の決壊現場

 

 走りやすい林道をすすんでゆくと6キロ地点で道は決壊していた。道路にはテープがはられていて赤い目印がつけられ、路上には木の枝がおかれている。路面はスッパリと川に削り取られていて、復旧するのは無理で、右の山の中に新しいルートを作るほかないように見える。これまで山がくずれて土砂が山道をふさいだ現場は何度も目にしたが、こんなに大規模に沢が林道を破壊した場所にははじめて遭遇した。

 これではどうしようもないので引き返すことにした。もどってゆくとひとりでエサ釣りをしている人の他に、エサ釣りのカップルとフライ・フィッシングの男性2人がいるのが見えた。林道には古い熊のフンがあったが、これだけ人が入っていてはヒグマも出てこないだろうと思われた。

 11時45分に林道に入り12時10分に入口にもどってきた。シートカチ林道は12キロのピストン走行になってしまった。昼時となったので東大雪荘に食事をとりにゆくことにする。以前は曙橋から東大雪荘まで10キロ以上のダートがあった。それが年々舗装されていったから、ジャリ道はもうないのではないかと思っていたが、6キロの未舗装部分がのこっていた。ダートと言っても幅広の超フラットな路面なので大型のオンロード・バイクでも走れるような道だ。ここを飛ばして東大雪荘にむかった。

 東大雪荘についてバイクをとめると足下にカミキリムシがいた。高原性のハナカミキリムシだろうか。彼は足を痛めていたのでそっとしておいた。東大雪荘の食堂で鹿唐揚げ丼950円をオーダーする。ここには鹿料理があるので毎回たのむことにしている。エゾ鹿の食害がつたえられているから、それを防ぐためにもできることで協力したいと思っているからだ。

 

 鹿唐揚げ丼

 

 メモをつけながら料理がくるのを待つ。私は夜は飲むだけでほとんど食べないのだが、昼はたくさんいただくことにしている。それで鹿唐揚げ丼だけでは足りない気がして、蕎麦もたのもうかと思ったのだが、600円もするからやめておいた。

 鹿唐揚げ丼は10分とかからずにやってきた。ごはんの上に鹿肉の唐揚げがのせられていて、真ん中に温泉玉子がトッピングされている。肉は甘い味つけでやわらかく、豚肉をたべているようだ。臭味はまったくない。鹿と言われなければ豚だと思ってしまうだろう。とても美味しかったが、やはり量が物足りなかったから、蕎麦もたのめばよかった。

 東大雪荘には渓流沿いのながめのよい露天風呂がある。好きな温泉なのだが今日は他の湯につかりたいので入らなかった。13時に東大雪荘をでる。DRのエンジンをかけようとするとカミキリムシはまだいたが、キックして始動するといなくなっていた。

オソウシ林道とオソウシサラウンナイ林道 

 東大雪湖にある屈足オソウシ当別林道の入口にむかう。山をくだってゆくと木の葉がひらひらと落ちてくる。秋の気配だ。すすんでゆくと前に2台のオフロード・バイクが走っているのが見えた。先程東大雪湖で見かけたふたりのようだ。追いつくかと思ったが速くてつかまえられないでいると、屈足オソウシ当別林道の入口でとまっているから、私もDRを停止させた。

 ふたりは地元ナンバーのヤマハWR250とホンダXR250のコンビだった。彼らは私もさっき走ってきたシートカチ林道の決壊ポイントまでいってもどってきたところだそうだ。30代のふたりは、このままアスファルトの道をとおって帰っても面白くないから、屈足オソウシ当別林道、オソウシサラウンナイ林道と走ってゆくと言う。それは私もおなじ気持ちだった。

 彼らのバイクはタイヤをモトクロス・タイヤに換えていて操作性は高そうだ。一方私のDRはテールボックスをつけていて重たい印象である。タイヤもオンロード寄りのものだ。林道走行に徹するならば彼らのようなマシーンがよいのだが、私はツアラーの要素も求めたいから、DR650がベストな1台なのである。

 彼らは先に林道に入っていった。2台のバイクが走れば熊もでないだろうと考えて私も出発する。湖畔からの出だしは急坂だと記憶していたがそれほどでもない。坂をのぼると道は平坦となり森の中をゆくダートとなる。ここも走りやすい路面だ。オソウシサラウンナイ林道との分岐まで7、8キロあると思っていたら5キロと近かった。林道ツーリングガイドによるとこの区間は3、3キロとなっている。

 分岐を直進すればオソウシ林道で、オソウシ温泉を経て道道778号線にでる。左にゆけばオソウシサラウンナイ林道で、鹿追自然ランドのある道道1088号線にいたるのだ。鹿追自然ランド方向にゆくつもりだが、オソウシ林道は走ったことがないので、まずこちらにゆくことにした。

 分岐を真っ直ぐにすすむとすぐにオソウシ温泉である。オソウシ温泉は以前たずねたときに、秋田犬が弾丸のように飛び出してきて追いかけられたところだ。以来私はここをオソイヌ温泉と呼んでいる。温泉にはたくさんの車がとまっているが、ここは通過して道道778号線との合流点までいってみることにした。

 オソウシ温泉から南は道幅がひろがり一段と走りやすいフラット・ダートとなった。温泉にアクセスするルートだから整備されているのだろう。車2台とすれちがって7キロ先の道道についた。

 写真をとって今やってきた道をもどってゆく。きれいなキツネ1匹と出会い、オソウシ温泉が見えるところにバイクをとめた。近づくと凶暴な大型犬が飛び出してくるかもしれないから、川をはさんだ場所から温泉をながめる。その犬がワンワンと吠えている。温泉客を吠えているのだ。吠えているだけで追いかけてはいない。秋田犬は大分年をとったようだ。しかし大きな犬を放し飼いにしているのは相変わらずで、まともな人間のやることではない。

 

 オソウシサラウンナイ林道

 

  オソウシサラウンナイ林道との分岐にもどってきた。ここから鹿追自然ランドのある道道1088号線まで12キロのダートである。オソウシサラウンナイ林道に入ると道は狭くなった。川沿いのジャリ道をのぼってゆく。険しくて深ジャリや急坂のところもある。とくに坂はこんなに急かと思うほどの部分もあった。きびしい路面の写真をとりたいが、そういうところでは足場が悪くてバイクをとめられない。難所は一気にはしりぬけて、道路が落ち着いたところで撮影するから、記録した画像はロングストレートやおだやかなのぼり坂、ゆるやかにカーブする森の道などになっている。

 オソウシサラウンナイ林道は分岐が多い。本道はわかりやすいのだが、1ヵ所だけ木の伐採をしている場所がわかりづらかった。それでもこっちだろうと判断したルートが正解で、林道の出口、鹿追自然ランドの入口につくことができた。時刻は15時だった。

鹿の湯とヌプカの夜 

 林道の出口で休憩し道道1088号線を北上したところにある国設然別峡野営場にむかう。このキャンプ場の奥の沢に無料の露天風呂の鹿の湯があり、そこにつかるためだ。

 道道1088号線はかつてはダートだったが今は舗装されている。それがオフロード派としては残念だ。このアスファルトの道をゆくと、野営場につづくダートがあるのだが、入りそこねて菅野温泉までいってしまった。何度も然別峡にきているが、菅野温泉を見たのははじめてだ。たくさんの車がきているのが意外だったが、それも道路が整備された効果なのだろう。

 菅野温泉からわずかな距離のダートを走り、国設然別峡野営場に到着した。入口にバイクをとめて場内に入ろうとすると、露天風呂をご利用の方、お気持ちを入れ下さい、と看板があり箱が設置されている。気持ちは入浴後に示すことにしてキャンプ場にすすんだ。

 

 鹿の湯

 

 野営場は空いていた。テントは三つたっていただろうか。キャンパーはひとりもいない。キャンプ場の奥の沢にでて鹿の湯に近づくと、以前はなかった脱衣所がつくられていた。風呂には男性がひとりだけ入っている。空いていてラッキーだと思い、67、8の先客に声をかけて私も露天風呂につからせてもらった。湯はぬるい。これならいくらでも湯船にいられそうだ。今日の予定はこれでおわりなので、温泉の中で体の力をぬいた。

 男性はシャイな方ですぐに上がっていった。これで鹿の湯は私の貸し切りだ。風呂の源泉はふたつあり、湯船の外の岩からしみだしているものと、風呂の中からわくものがある。露天風呂の底からでる源泉のほうが温度が高いので、そこに近づいて体をあたためた。温泉にひとりでつかり沢の上流や下流をながめる。肩のすぐ横を渓流がながれている。空を見上げた。北海道に来てよかったと思う。ひとりきりなのでカメラを持ってきて自撮りをしたりする。後で画像を見てみると、我ながらご満悦の表情だった。

 鹿の湯からあがって服をきていると若い男性がやってきた。車できた人だ。彼の問いに答えて、湯はぬるいが湯船の奥のほうが温度が高いと教えておく。鹿の湯にひとりでつかれると知った、彼の気持ちが高揚するのがつたわってきた。

 キャンプ場を歩いてゆくと風呂でいっしょになった男性がテント・サイトにいた。キャンパーだったのだ。野営慣れしたたたずまいのその人のテントの横をとおってキャンプ場の入口にもどってゆく。野営場の大人1泊の料金は250円なので、風呂に入らせてもらった気持ちの100円を箱にいれておいた。

 ヌプカにもどることにする。その前に明日のための給油と夕食とビールの買い出しだ。野営場から菅野温泉ではない方向に、1、4キロのダートを走って道道1088号線にでる。また鹿追のGSまでいってガスを入れようかと思ったが、遠回りになるし、士幌でも給油はできるだろうと考えて士幌の中心街にむかった。

 

 士幌市街にむかう

 

 士幌の市街地につくとGSは休みだった。ショックだ。しかし地元の方に聞くとすぐ近くの国道沿いの店が営業していると教えてくれた。その出光で給油をする。24、6K/L。132円。

 以前利用したことのある個人経営のスーパー、しほろフードセンターに入る。肉はなくて刺身は高い。値引き販売をしている稲荷寿司100円とおにぎり80円、それにインスタントのスープを明日の朝食用に買った。

 Aコープに移動して士幌牛のカルビと焼肉のタレ、サッポロクラシックをもとめる。ビールは寒いから350mlにしようと思ったのだが、習慣で500mlにしてしまった。お店の人と話をしたが、士幌によく来ている、ヌプカの里を愛用していると言うと、とても喜んでくれた。

 日暮れの道をヌプカにもどってゆく。志幌の中心地からヌプカまで18キロある。車のほとんど走っていない道道をつないで山の上にあるヌプカに18時10分についた。キャンプ場には3台の車がとまっていて20代の若者のグループがきている。彼らはテントをふたつ、それに宴会用のスクリーン・テントをたててにぎやかに飲んでいた。誰も来ないだろうと思っていたから意外だったが、人がいたほうがこちらとしてもよいのだ。山の中のキャンプ場にひとりでは心細いから。

 ハイエースの隣りに車を駐車されてしまったのでDRは路肩にとめておいた。ヘルメットとグローブをぬいでハイエースの荷台にあがり、さっそくサッポロクラシックをやる。日が沈んでゆく。ヌプカからのながめは絶景だ。ここは人気はないが私はナイタイ高原よりも上だと思っている。

 

 士幌牛の夕食

 

 ハイエースのフロアにテーブルとロー・チェアをだして牛肉を焼く。肉はかたくて200グラムのカルビをたべると顎が痛くなるほどだ。昼が鹿唐揚げ丼だけで物足りなかったから、明日の朝食用に買った稲荷寿司とおにぎりもたべてしまった。

 車内で焼肉をしたのであらゆるものににおいがついてしまった。これは翌日になっても消えなかった。食後に食器を洗いにゆくと若者たちは男同士で楽しそうに飲んでいる。冷えてきたので焼酎をお湯割にして飲む。ラジオでは北朝鮮が核実験をしたと伝えていた。

 焼酎の杯をかさねてゆくが、冷え込んでいるので寝る準備は入念にした。スリー・シーズンのシュラフの中にサマー・シーズンの寝袋を入れて二重にし、その上に毛布をかける。その寝床にはいって飲んでいるといつの間にか眠っていた。

                            車の走行距離234、8キロ  バイクの走行距離249キロ ダート52キロ

 

 

 

 

 

 

 

  

 

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