注文の多い料理店 宮沢賢治 角川文庫 2002年 420円 税別

 宮沢賢治の短編童話集。

 賢治は生前に2冊の本をだしている。生前は世に認められていなかったので、2冊とも自費出版だったそうだ。1冊は詩集で、もう一冊がこの『注文の多い料理店』である。本書は12冊だすつもりだった、イーハトブ童話の第1冊だという。おさめられている童話は、どれもこれも1冊目を飾るのにふさわしい、独創性と完成度をもっている。童話が岩手のことばで語られるのも新鮮だ。

 どれもおだやかでやさしい作風だ。銀河鉄道の夜のような、悲痛なうつくしさのきらめきはない。

 この文庫本は自費出版された初版本の体裁に最大限ならったつくりとなっている。それを主導した編者の、情熱を感じさせる解説もよい。

 内容については私などが何も書けるわけがない。ただ読み、味わい、感嘆するのみだ。

 

 

 

 

 

 

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