フィラリア  小林照幸  TBSブリタニカ  1994年  2000円

 フィラリアという寄生虫を絶滅させた記録。ドキュメンタリーである。フィラリアは蚊を媒介して感染する。罹患すると、フィラリア虫は血液中で成長し、10センチにもなり、リンパ管に住みつく。リンパ液の流れがとどこおることにより、足が象のようにはれて太くなる象皮症、陰のうが人頭大になる陰のう水腫、など深刻な症状がでる。
 本書は治療法のなかった時代より、日本以外のエピソードや、根絶にかかわった医師などを丁寧に紹介している。東京の八丈島ではじまった根絶への道が、九州、愛媛と広がって、復帰前後の沖縄で達成されたことは感動的である。フィラリアが根絶されたのは世界で唯一日本だけである。
 なお犬のかかるフィラリアとは関係がない。人間に感染するフィラリアについての書である。



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