自転車依存症 白鳥和也 平凡社 2006年 1600円+税

 自転車マニアが書いたエッセイ集。

 1970年代から自転車趣味の世界(サイクリングだけでなく、自転車そのものにも凝る)にはいった作者による、自転車マニアにしかわからない嗜好を語った書である。

 まず自転車趣味にはまると自転車が増える、ということについて作者は語る。金銭と収納スペースがある限り自転車は増え、5台、10台となっていく。自転車にもいろいろな用途によって細分化された車種があるのだ。1週間程度のサイクリングに使う旅行車、競技用のロードレーサー、快速サイクリング用のスポルティーフ、分解して鉄道に持ち込む輪行車、散歩用のもの、まったく趣味だけのためにクラシック部品で作まれたスペシャルメイドなど。物欲に支配されると自転車がどんどん増えてしまうことを、家族の迷惑には眼をつぶって、自分勝手に語る。

 その後も自転車愛好家の生態を描写していくが、いつの間にか、自転車趣味の人は車も好きなはずだ、カメラも、音楽も、鉄道も、と脱線していく。それらに興味のない私は我慢してつきあったが、最後まで抑制することなく、饒舌に、たえず脱線しつつ自転車以外のことを書いているので、後半は読み飛ばしてしまった。

 前半は自転車趣味の人が興味深く読める本である。自転車が好きでなかったら、専門用語も多いので、よくわからないであろう。

 

 

 

 

 

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