函館物語 辻仁成 集英社文庫 1998年版 610円
函館で中学・高校時代をすごした作者による函館案内。ガイドブックを装ってはいるが、記憶のなかにある『幻想的な函館』へ案内する書である、と作者は書いている。
ノスタルジックな回想とともに紹介されるのは、ホテル、喫茶店、すき焼き店、洋食店、笹流ダム(ささながれだむ)、五島軒(有名なフランス料理店)、刑務所、海、海峡、函館山など。
ガイドの合間に漁師、青函連絡船の客室係り、などとの対談があり、これは代表作の『海峡の光』の登場人物を連想させる。
私はガイドブックとして読み、笹流ダムにいった。辻の言うとおりうつくしい建造物で穴場であった。
北海道フリークにも好適の書。