般若心経とは何か ブッダから大乗へ 宮元 啓一 春秋社 2004年 1700円+税

 般若心経の内容を、ブッダと仏教の歴史をふまえて説明している書。

 般若心経の前半は、この世のすべてのものが執着すべきものではないと説く。五感で感じとれるものや肉体、苦や老死でさえも。すべてに執着心をなくすと解脱すると続くが、最後に呪文のような言葉がでてくる。

ぎゃーてい、ぎゃーてい、はーらーぎゃーてい、はーらーそうぎゃーてい、ぼーじーそわか、である。

 この呪文の解説が本書のポイントとなっている。呪文はただの言葉ではなく、力を備えていると説明していく。この真言、マントラである呪文は、すべての苦しみを鎮めるものであり、この上のない真実の言葉であり、すべての願望を成就する力を持つ、と解説している。この呪文をとなえれば、観音菩薩の偉大な力を獲得できるとするのである。

 呪文の意味するところは、

 往くことよ、往くことよ、彼岸に往くことよ、
 彼岸に完全に往くことよ、目覚めに幸あれ!

となっている。

 

 

 

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