北海道に暮らす 道東編 資金ゼロからの北海道移住 荒木 美紀子 長崎出版 2006年 1700円+税

 転職までの休暇にたまたま北海道に旅行し、そのまま住み着いてしまった作者の体験記。

 まったくの無計画、出たとこ勝負、それに金も無いのに北海道に住み着き、生活の場を得た移住者のドキュメンタリー。作者は住む場所や職場をもとめて走りまわる。そのドタバタが、こういう生活に縁のないものにとって、本書の読みどころであろう。

 図書館でこの本をみつけて手にとった。北海道にはこういう人が昔からたくさんいたから興味をもったのだ。私が出会った人たちは、その日暮らしの、刹那的な考えの人間ばかりだった。作者にもその傾向が感じられる。

 作者は釧路から、阿寒、標茶町とうつっていく。この地域は私が北海道ツーリングでよく行くところだ。屈斜路湖、開陽台、多和平、虹別林道。ツーリング・ライダーがいきたがるところは辺境であるから、住むのはきびしい。それでも夫や子供、犬達とたのしく暮らしている作者の生活と価値観が書かれている。

 価値観に共感できるかはその人しだいだろう。移住の参考になるのかも、同様であろう。私は興味本位に読んだ。

 

 

 

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