本が読めない

 最近まったく本をよんでいない。時間がないのだ。どうしてかというと『古文』の勉強をしているからである。

 高1の息子の3学期の期末テストがきっかけだった。息子のテストを見た私は絶句してしまった。国語と物理がまったくできていなかったのだ。
「これは赤点ではないのか?」と息子に問うと、
 「平常点」という、ふだんの授業態度などが加点されるため、赤点にはならないとのこと。しかし出来がひどすぎるので、教科書とノート、テスト問題を提出させて点検してみた。苦手の物理は後回しにして、国語を見てみると現国はふつうに得点できているが、古文と漢文がほとんどできていない。このふたつはまったく理解できていないようだった。

 じつは中学生のころは息子の勉強を手伝ってやったものなのだ。しかし息子も成長して、親から教わるのを嫌がるようになり、それも自主性を育てるためには大切なことだし、親離れは人間の成長として自然なことなので、息子の勉強には手も口もださなくなっていた。しかしテストの結果は看過できないものであったし、自力で改善することは無理のようなので、数年ぶりに介入することに決めた。

 家内にこれまでの古文の勉強について聞いてみると、高校生になったときに塾の先生にたずねて、いちばん実績のある参考書を買ってあたえてあると言う。それを見てみると受験効率第一で、説明や理屈なしの、出る順、詰め込み型。息子が使った形跡はまったくなく、これでは無味乾燥でダメだと、20年ぶりに参考書を買いにでかけた。高校生にまじってえらんだのは基礎からていねいに説明されている、『0からわかる古文』、ライオン社、武藤元昭著、1300円+税、である。これを購入し息子に教えるまえにまず自分で勉強をはじめてみた。

 

 

 

 ところで英語と数学に関しては、家庭教師をつけ塾にもいかせてテコ入れしている。しかし古文も漢文も物理もと、すべての科目をたのむのは財政的に無理である。外注にだすと1時間あたり3千円から4千円かかるのだから。自分でできることは自らこなすことが、資産家ではない親の正しい道である。

 古文の勉強をはじめてみると、これが面白いのだ。時間はかかるがこんなに楽しかっただろうかと、自分の高校生のときに退屈でならなかった古文の授業の記憶があやしくてならないほど、没頭できるのである。古文は文法と読解である。とにかくはじめは文法だ。基本の動詞の活用からはじまる。四段活用、上一段活用、上二段活用、下一段、下二段、サ行変格活用、カ変、ナ変、ラ変とすすんでいく。しかし学生のときは活用表などながめていれば視覚的、立体的に頭のなかに定着したのに、なかなか覚えられなくなっている自分に気づいた。

 それでもたのしい。形容詞、形容動詞、そして文法のメインの助動詞にはいって、活用と意味をとらえるのに悪戦苦闘する。ほかにも助詞や副詞に連体詞、歌の修辞、枕詞や序詞、暗記しなければどうにもならない古語基本語、文学史、係り結びに敬語などもある。

 これらのすべてをカバーすることはできないが、息子に教えるくらいになるのに2ヶ月ほどかかってしまった。現在は古文を教えつつ、漢文の勉強を開始しようかと思っている段階である。

 私自身、国語がいちばん得意な科目であった。点が取れたのは漢文、現国、古文の順だった。漢文は型が決まっていて、一定の法則をおぼえてしまえば、毎回おなじような問題が出題されるので正答率がたかかった。一方物理はまったくダメだった。私大文系なので理系の科目はまったく不得手である。おなじく私大文系の家内におしえてみたらと水をむけると、とんでもない、との返事。

 ふりかえれば、息子が中学生のときも現国の文法が苦手だったのを私が教え、点数を2倍化、3倍化させた実績がある。今回はどうなることであろうか。

 しかし、しばらく本が読めそうにない。

 

 テスト結果

 高2の1学期、中間試験のテスト範囲が発表された。ノートと教科書を見るとポイントとなるのは、助動詞と係り結びである。漢文はまだ基本的なことだけなので、古文中心に勉強させて、点数を2倍化することに成功した。よかったと喜んでいたら、こんどは数学と世界史が赤点だ。なんだ、どうなっているのだ、うれしい後、イライラの結果となった。

 そして期末試験

 うーん、我ながらよくやると思う。中間テストよりもさらに高みを目指すべく、期末試験の勉強をスタートさせた。最終的には、目先のテストだけでなく、大学受験でもつかえる学力をつちかうことが目標だ。とりあえず中間テストで勉強したことの確認からはじめる。助動詞の意味や活用など、すぐに忘れてしまうから。そして漢文は、『東進ブックス、三羽の漢文基本ポイントこれだけ!、三羽邦美、950円+税』を、またまた高校生にまじって書店で購入し、基本からノートにまとめて学んでいく。漢文はおぼえることが決まっているので、ノート10ページほど暗記すれば、どんなものもほとんど対応できるのだ。

 試験範囲の教科書とノートを見てみると、古文はいよいよ歌物語が登場した。助動詞と係り結びのほかに、歌の修辞、枕詞、序詞、などが問題となりそうだ。また、漢文は、未だーーせず、当にーーべし、と再読文字がポイントだ。ここを重点的に学習した。

 テスト結果

 記憶したものを維持し、さらに多くのことを覚えていくには忍耐力がいる。集中力もいるし、向上心も必要だ。わが息子は少々オーバー・ヒート気味。試験は古文だけでなく、英語も数学も物理も歴史も、そのほかにもいろいろあるから当然か。したがって教えるほうとしては不満の残る準備しかできないが、子供のほうはいっぱいいっぱいの状態でテストとなった。

 結果は中間テストよりも5点アップ。不満はのこるが妥当なところだろうか。

 こんなところでこの話はそろそろ終了とすることにする。きりがないから。でもいつのまにか更新されているかも。

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