きみのためのバラ 池澤夏樹 新潮社 2007年 1300円+税

パリ、ヘルシンキ、沖縄など。特定の場所を舞台とし、その土地を生かした短編がならぶ作品集。 

いろいろな土地が出てくるがそれが良く効いている。そして他の作家にはない国際的な視点があるのが特徴的だ。

国際結婚、土俗的なもの、人生の哀歓、若者の繊細な心などがテーマとなっている。それも単純なものではなくて、他のものや視点とからめてあり、味わい深い小説に仕上げられている。 

ベテランの実力を感じさせる円熟した短編がつづく。肩に力の入っていない、落ち着いた語り口も好ましい。 

ヘルシンキの短編は他の本でも読んだが、心にひびく作品だ。 

 

 

 

 

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