虹の解体  リチャード・ドーキンス  2001年  早川書房  2200円

 ニュートンが白光をプリズム7色に分光したことから、今日の科学の基礎はつくられた。しかし英国の詩人キーツは、虹の詩情を破壊したとニュートンを非難した。
 キーツの感性は人間の自然な感情の一面だろう。しかしドーキンスは科学を徹底的に擁護する。虹が物理的に説明された上で見えてくる詩性があるはずだ、と。本書は科学の徹底した擁護、弁護の書である。その信念はいささか自信過剰というか、科学至上主義にすぎるきらいがある。
 遠い星からやってくるスペクトル、DNAについての章など興味深く、早川書房にしては翻訳もよい。もっともアメリカ人の書く本は論理が明快ということもあるが。しかし後半は進化論についての専門的な記述がつづき、素人には難解すぎる。
 前半は知的好奇心を刺激、満たしてくれる書。
 















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