仏典をよむ 2 真理のことば 中村元 岩波書店 2001年 1800円+税

 NHKのラジオ講義を文章化した仏教入門書の第二巻。一巻につづいて原始仏教の経典を解説している。

 まず真理のことばを意味する『ダンマバダ』からはじまる。ダンマバダは詩で構成され、人生の指針が語られている。つづいてブッダの弟子がいかに苦しんで出家し、救いを得たかについて語る章があり、ブッダが子供に人間の行為規定、戒め、などを教えるものがある。

 いずれも平易なことばで書かれていてわかりやすく、そして心にひびく内容である。宗教というよりも道徳と感じられるものも多いのが特徴だ。

 つづいてブッダの入滅後、ブッダの語った教えを弟子達が経典にまとめた、仏典結集の第三回をおこなったとされる、インドのアショーカ王の思想について書かれている。最後にギリシャ人の王と仏教の高僧との議論がある。西洋とアジア思想の対決だ。

 良書である。自分だけでなく、子供にも薦めたい書。もっと早く読めばよかったと思う一冊である。

 

 

 

 

             文学の旅・トップ