太陽の都  カムパネルラ  岩波文庫  昭和25年

 子供の学校のバザーで入手。ボロボロの50年前の文庫で現在発行されているのか不明。聞いたことのない書名なので絶版かもしれない。
 著者名にひかれた。いわずと知れた宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』の登場人物と同名だ。本は私を呼んでいるかのような、引力を発していた。ちなみに10円だった。
 救護修道院の院長とジェノア人船長との会話で、船長が見てきたという、セイロン島にある先進的な国家の姿を語る、というのが筋。
 かの国は作者の考える人間の理想郷であろう。かの国では「太陽」と呼ばれる形而上学者、哲学者が国を治め、その下に「愛」、「権力」、「知恵」と呼ばれる執行官がいる。4者が政事について話し合うが、裁断はかならず「太陽」がくだす。そのほかにも理想主義的な制度の数々が語られる。
 人類の理想を夢想した書。

 

 

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