東京の中古ワンルームを3戸持ちなさい 重吉 勉 かんき出版 2009年 1500円+税
作者は不動産投資をするなら都内の中古ワンルームを買え、と主張する。その理由を述べていく不動産投資の指南書。
本書は一時かなり話題になり、広告もよく見たし、じっさいに売れたのだと思う。奥付を確認すると発行は2009年だから、3年前の話題の書である。
不動産投資のリスクは空室がいちばん大きいと作者は指摘する。しかし、都内ならば需要が強いから安定した入居が見込まれる。だから都内のマンションにすべきだと言うのである。
またファミリー・タイプのマンションは賃料が高くなり、入居者が決まりづらい。一方のワンルームは家賃が低目なので入居者はみつかりやすい。また、ファミリー・マンションはワンルームの2倍の価格だったとしても、倍の賃料はとれないから、投資効率からもワンルームが有利だと作者は指摘する。
そして繰上げ返済をし、2件のワンルームのローンを終わらせて、3件目を買えば、賃貸収入でワンルームマンションが増えていく、資産が試算を生む循環になるから、それを目指すべきだとするのである。
作者の説は誠に理にかなっていて、説得力がある。フル・ローンでアパートを買えという本が多いなかで、資金計画も堅実だ。しかし、遺産相続の視点がないのが難。借金はすべて返せばよいというものでもないから、その視点が欠けている。それでも、一読の価値のある本である。