税務署員がこっそり教えるお金の裏ワザ サラリーマン最強の蓄財術 大村大次郎 中公新書ラフレ 2015年 740円+税

元税務署員の筆者が開陳する節税・蓄財の指南書。

内容は基本的で一般的によく知られていることばかりである。個人年金のメリット、財形貯蓄、定額預金、保険の税額控除など。

これはと思わせるのは、家は借りるよりも買ったほうが絶対に安い、というところ。持ち家と借家は家を買ったコストと借りつづけた費用を比較して、どちらが得かという議論がされるが、それだけで考えるべきではないと筆者は指摘する。借りた場合は払った現金は消えてゆくが、持ち家は自宅という資産がのこる。そしてもしも世帯主が死んだ場合、住宅ローンには生命保険がかけられるのが普通だから、保険金で借金は完済される。だから持ち家は保険代わりにもなるというわけだ。さらに自宅は相続に有利だ。同居している親族が家を相続する場合は手厚い控除がうけられる。またローンで住宅を購入すると、住宅ローン控除を10年間うけられる。これは借金の1パーセント(上限40万円)までの年間の所得税、住民税が控除される特例だ。一般的なサラリーマンは年間の所得税は20万円ほどだから、10年間所得税と住民税をはらわなくてすむかもしれない。これは大きい。借家の人は税金をはらいつづけなければならないのだ。

そしてここが税務署員の智慧だと感心したのは、夫婦で同じような所得がある場合、住宅を共有名義にして借り入れをすれば、夫婦がともに住宅ローン控除をうけられるということ。夫婦で税金が免除されればこれはダブルでお得になる。

株式投資や不動産投資については目新しいものはない。