2017北海道トランポ林道ツーリング1日目・2日目

 

 

1日目 旅立ち

 ハイエースにバイクと荷物を積んで19時すぎに出発した。2017年の北海道ツーリングのスタートだ。フェリーは明日の午前11時45分発の新潟ー小樽便なので時間はある。高速代を節約したいから今年も一般道を北上した。渋滞気味の国道17号線をゆくと埼玉県の北本市で雨が降りだした。雨粒に打たれるのが嫌でトランポの旅にしているのだ。車にしてよかったと思いつつ国道をすすんでいった。

 去年と同じく今年も台風がきていて、現在小笠原に停滞している。台風はこれから太平洋を北上する予報だが、動きが遅くてコースがよめない。北海道のはるか東をすすんでくれればよいのだが、そうならずに北海道に近づくと、道東に影響がでそうだった。

 群馬県に入ると雨足は弱くなった。前橋で工事中だった上武道路は開通していて、前橋市街をパスできるようになっていた。これで時間が大幅に短縮できるようになり、とても便利になった。

 フェリーは大洗ー苫小牧便のほうが近くて便利なのだが、料金が安いので新潟便にしている。フェリー代を節約しても、高速代が余計にかかったら元も子もないのでなるべく一般道をゆくつもりだ。これは北海道にわたってもそうするつもりだった(新潟ー小樽便と大洗ー苫小牧便の料金の比較については『こちら』をどうぞ)。

 雨がポツポツと落ちる国道17号線を北上する。伊香保・沼田とすすみ月夜野ICをめざした。月夜野ICの手前のミニストップでビールと夕食代わりのサンドイッチを買って関越道にはいる。高速道路は三国峠の山道をさけるために月夜野ー湯沢間だけを利用するつもりだった。

 

 

 関越トンネルをぬけたところにある土樽PAで車中泊をすることにした。時刻は23時をすぎている。車内の荷物をうごかしてベット・スペースをつくり、ビールとサンドイッチで一息ついた。疲れているのか500mlのビールがなかなか飲めない。気温は18℃、19℃と表示されていて涼しかった。ハイエースのフロアで片肘をついて酒を飲んでいるといつの間にか眠っていた。

                                                 車の走行距離 167キロ

 

2日目 フェリーにて 

 

 

 土樽PA

 

 6時30分に起床した。天候はくもり。昨夜は寒かった。シュラフの上に毛布をかけて眠ったほどだ。体が真夏の気温に慣れているから、少しの温度の低下で寒く感じるのだろう。

 朝食はカレーメシにしてみた。はじめてご飯のカップヌードルをたべてみたが、よく混ぜなかったので味がうすかった。荷物を走行用に積みなおして7時に出発する。湯沢ICで関越道をおりると料金は780円だ。三国峠を通らずにすんでPAで車中泊もしたから納得の通行料金である。

 国道17号線をゆく。気温は21℃と表示されている。空は晴れてきた。車の流れは60キロだったが、80キロ、90キロと上がってゆく。新潟の道路は北海道並みに快適だ。

 フェリーは11時45分発で、1時間前の10時45分までにフェリー・ターミナルに来るようにと案内されている。このまま国道をすすむと到着時間は10時20分になるとナビは言う。しかし途中でガスを入れたり、船内での食料を買ったりするからもう少し余裕がほしい。そこで中之島見付ICから黒埼PAのETC出口まで北陸自動車道を利用した。料金は760円だ。

 黒埼PAをでると新潟バイパスが通っていて高速道路のように走れた。新潟は道路がよく整備されている。これも角さん(田中角栄元首相)のおかげだろうか。

 フェリー・ターミナルの近くのGSで給油をする。明日の早朝に小樽につくのでガスの心配をせずに走れるようにするためだ。これはフェリーに乗るときの習慣である。燃費は10、4K/Lと好成績をマークした。単価は118円。つづいてセブンイレブンに入り船内で食べるおにぎり、サンドイッチ、ホットドックなどを購入した。

 

 フェリー・ターミナル 

 

 フェリー・ターミナルは混んでいた。自衛隊の車輌がたくさんいて車もバイクも多い。とくにオートバイはこんなにいるのは久しぶりに見たほどだ。乗用車と二輪はキャンセル待ちとなっている。これまで天気待ちをしていた人たちが、これから天候はよくなると判断して、北海道行きを決めたためだろうか。

 気温は上がり暑くなってきた。船内にもってゆく荷物をまとめてバイクの固定を確認する。DRを車にのせたのは昨年の北海道ツーリング以来だ。うまくやれるのか不安だったが、すんなりと押し上げることができた。ただオートバイをのせた位置がよくなかった。フロント・タイヤをセカンド・シートの背に直角に押しつけたいのだがそうなっていない。タイダウン・ベルトの扱い方も忘れていた。

 バイクの乗船は11時10分から、車は11時20分からだが大幅におくれた。待っていると去年もいた黒いスポーツカーのドライバーが係員に文句を言っている。それもはげしい調子で執拗にだ。この人は車が黒だが服もサングラスも黒色で、しかも強面のスキンヘッドだから迫力がある。そのせいか、それとも車高が低いためなのか、私よりも後から来たのに先に案内されていった。

 12時すぎに乗船した。バイクの固定をもう一度確認して船室にゆく。予約していたのはいちばん安いツーリストCだ。寝台列車のような上下二段ベットの寝るだけのスペースである。ただ少数だけある、上段だけの場所をおさえてあった。下に人がいないので気が楽である。しかし思ったよりも隣りが近い。隣室はライダーのようだが風呂にでもいったのか不在だ。その人は若い男性なのかなと思った。

 フェリーは35分遅れの12時20分に出港した。船上コンサートと映画の予定を見にゆくと、コンサートに出演するのは去年とおなじエスペランサだ。熟年男女のペアである。また映画の上映はなくなっていた。船は新造船なので映画の設備は切り捨てられたようだ。雑魚寝の大部屋もなくなったから、これも時代の流れなのだろう。

 売店にゆくとレトルトのホッキカレーがある。去年これをみやげにしたのだが、家内に今年も買ってきてほしいと言われていたので、在庫の3個をすべて購入した。しかし後で値段をよく見るとひとつ950円もする。これは高すぎるだろう。苫小牧のマルトマ食堂のホッキカレーは超大盛りで1000円なのだ。ホッキが少ししか入ってないレトルト・カレーがこの値段とは新日本海フェリーは儲けすぎだ。気になったので帰ってから昨年の買物の記録もしらべてみると、マルトマ食堂のホッキカレー・レトルトは880円となっている。これも高い。今後はフェリーの売店で土産物を買わないことにした。

 昼食はいつものようにカップめんにするつもりだった。そこで給湯室をさがすがない。受付でたずねてみると給湯室はなく、給湯機が後部デッキにあるとのこと。そこに移動してカップめんにおにぎりなどの昼食をとったが、いまの季節ならばデッキに出るのは苦にならないが、寒い時期には辛いだろう。カップめんで食事をする客をここまで冷遇することもなかろうにと思った。

 船長からの挨拶の放送がはいった。現在の天候は晴れ。波の高さは日本海は1メートル、津軽海峡は1、5メートル、北海道沖は1メートルとのことでおだやか海だ。出港は遅れたが小樽には定刻につく予定とのことだった。

 デッキから船内にもどると軽食コーナーで男が文句を言っている。ジュースを注文したが氷ばかりでジュースがほとんど入っていないと言っているのだ。45くらいの関西弁の男性だった。船員は、そういうご意見のあったことを上司と会社につたえます、氷なしと言っていただければそれも可能です、と答えていたが、苦情元の中年男は、これはひどい、と何度も言っているからたしかにそうなのだろう。しかし関東の男はこんなことを言うのはカッコ悪いと思ってしまうが、関西人の行動のほうが正しいね。

 14時からビンゴ大会だ。この時間の風呂は空いているだろうと考えてゆくと、思ったとおりガラガラだ。新造船は露天風呂がついている。これはよい。海を見ながら湯につかる。サウナにも入って大満足した。

 船内では時間があるのでハイエースの取扱説明書をもってきていた。ジャッキ・アップ・ポイントを確認したいと思ったのだが、じっさいに車の下部を見ながらでないとよくわからない。ただ、オフロード走行はしないでください、とあるのをみつけたのは発見だった。そのように設計されていません、オフロードを走る場合はゆっくり静かに運転してください、とのことだ。ハイエースは頑丈なイメージがあるから、オフロードもガンガン走ってよいのかと思っていた。

 

 エスペランサの船上コンサート

 

 16時からエスペランサの船上コンサートにゆく。ふたりは50前後のベテランなので熟練の歌とギター、トークで楽しめた。昨年よりも肩の力がぬけて更によくなっている。曲は、百万本のバラ、コーヒールンバ、ロコモーション、菊正宗、など。エスペランサは毎週川崎FMに出演しており、フェリーで聞いたというリスナーからのリクエストもくるそうだ。コンサートは今年も去年もとてもよかったのだが、それを本人たちに言うのは恥ずかしいので、代わりに船員に話しておいた。昨年も今年もとてもよかつたから、これからも聞きたい、と。応援になるし、本人たちの耳にも入ると思ったので。

 18時13分が日没なので写真をとりにゆくと、デッキにはたくさんの人がいた。テーブル席の椅子を持ち出してフェンス際に陣取っている客もいる。なんとか最前列の位置を確保して移ろう夕日をカメラとスマホにおさめてゆく。今年はきれいな入日を見ることができた。

 太陽が沈むと人はいなくなってしまう。この先の空の変化もドラマチックなのにである。サッポロ・クラシック(ビール)を買ってきて紅の空が色彩をうしなってゆくのをながめる。近くにかなり酔った60くらいの男性がすわっている。定年後のひとり旅だろうか、それとも休暇なのか。おぼつかない手でカップめんをたべていたが、機嫌よく酩酊していた。空が暗くしずんだ18時45分までデッキにいた。

 

 デッキで夕刻の時間をすごす

 

 寝台にもどると隣りのライダーがいた。若い人かと思ったら同年くらいの男だ。その男性はベットに腰かけて縫い物をしているのだが、ブリーフをつくろっている。白い使い込んだパンツをだ。こんな出会いはないだろう。こういう人とは会話はできない。ブリーフ・ライダーに会釈して寝台にはいりカーテンを引く。そして焼酎を飲みだした。サンドイッチをつまみにして3杯の水割りをのんだら眠っていた。20時前だったと思う。

 車の走行距離 151、6キロ