バニング

 1980年代に自作キャンピング・カーを中心とする雑誌があった。たしか『バニング』という名前だったと思う。当時普通免許はもっていたが、バイクをローンで買うのが精一杯の学生だった私は、興味はあっても手にはいらないものに情熱をかたむけてもしかたがないと、雑誌を2・3冊読んだだけで、関心の対象からはずしてしまった。スポーツ・カーなど車全般といっしょに。

 その雑誌はライトエースやキャラバンの改造が主で、2列目、3列目のシートをはずしてカーペットを敷きつめたり、窓埋めをしたり、スピーカーを壁に埋めこんだり、凝っていたとしてもその程度で、オーナーが自作するのが主流だった。キャンピング・カーのビルダーもいたし、輸入の完成車もあったが、それは一段も二段も上の分野で一般的ではなかった。

 カー・ショップにいけば車用のカーテンやレール、さまざまな車内灯などが売られていて、キャラバンに乗っていた友人につきあって部品を買いにいったものだ。それだけ自作派がいたのだろうが、当時の消費者の購買力はこの程度だったと思う。キャンピング・カーにあこがれた男が中古のキャラバンを手にいれて、すこしずつ部品を買っては自分で取り付けていく。たいがいはアルミをいれ、カーテンを取り付けて、ミラーやグリルを換えればいじっているほうだった。

 セレナを手にいれた平成13年に本屋で『バニング』をさがした。しかしいつの間にか廃刊となっていた。キャンピング・カーの本はあってもビルダーの仕上げた製品の紹介ばかり。カー・ショップにいってみても当時たくさんあった部品はなく、時代は変わったのを実感した。

 高価な専用商品ではなく、既製品を自分の金力と技術力の範囲で改造・応用して、キャンピング・カーらしく仕上げる人はいなくなってしまったのかと思った。しかしインター・ネットの世界でさがすと、昔のままに自作派は健在でうれしくなった。各種のHPを参考にして、私も費用第一、機能が第二、で手を加えている。まだまだやりたいことはあるが、それはこれからの楽しみであり、課題である。

 ところで『バニング』は八重洲出版だっただろうか。庶民派でよかったのだが。

 

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