闇の歯車 藤沢周平 講談社文庫 1998年 490円+税
板橋駅近くの古本屋、橘屋板橋店の100円コーナーでえらんだ。藤沢周平ならはずれはないでしょ。
江戸時代の時代小説。押し込み強盗の話である。強盗の頭目が仲間をつどって押し込みをはたらく。計画は綿密にねってあるが、破綻してゆくストーリー。
前半から糸を引き、人情や人生の機微を織り込んでいる、藤沢らしい作風だが、展開がいささか安易ではある。ただし娯楽小説であるととらえれば十分にたのしめるものだろう。
全体に緊張感があり、語りは重く、暗い印象だ。しかし救いがない内容ではないので読後感はよい。