2011年 年越し赤穂キャンプ 3日目

 

 誰もいないパビリオンの中

 

 深夜ひどい寒さと二日酔いで眼が覚めた。車の中で寝ているのにとんでもない寒さだ。それに気持ちが悪いし頭も痛い。外をうかがうと強風が吹き荒れていて、車が揺れるほどだ。風は海からのまともに吹きつけてくる突風、寒風で、窓を閉めてカーテンを引いている車内にまで、容赦なく冷気を伝えてくる。こんなに風が吹くと思わなかったから、車を物陰に停めなかったのだ。シュラフから顔を出しただけで顔が寒いし、水を飲むとむせるほどに冷たい。とにかく水を飲んでまた寝袋にくるまった。

 断続的に目覚めてはまた眠った。宿酔がひどくて起きられない。その間に皆さんはそろって初日の出を見て、朝食を食べ、初詣に出かけ、そして風呂にでかけたとのこと。私はひとり車で横になり、頭の痛さと気分の悪さ、そして寒さに耐えているのみだった。

 ひどい元旦である。

 しかし皆さんが風呂に出かけると、ようやく元気が出てきた。無人のパビリオンに行って昨夜の鍋の残りにうどんを投入して食べると、完全ではないが復活した。こうなると時間がもったいないから、行きたいと思っていた「書写山 円教寺ーしょしゃざん えんぎょうじ』に向かおうかと考えるが、ここは山道を歩くそうなので、もっと楽にたずねることのできる岡山城にいくことにした。

 ナビをセットすると1時間でつくとのこと。国道をゆっくりと走っていった。赤穂は兵庫県と岡山県の境にあり、走りだすとすぐに岡山県の備前だ。備前焼と刀剣の里で美術館もあるが残念ながら正月で休館だった。

 

 

 岡山城

 岡山城に着くと、正月のため駐車場も城の入場料も無料だった。ラッキーである。さっそく城の天守閣にあがって景色を眺めた。眼下には日本三大庭園の後楽園と岡山の街が見えている。以前に後楽園をたずねたことはあったのだが、岡山城を見ることなく帰ったので、今回は城を見に来たのだ。岡山の街を見ていると、文化と歴史と自然があるよい都市だと思う。せっかくだから後楽園も見ていくことにした。

 城前の広場ではおみやげの福袋を売っていた。3000円相当の品が入って1000円とのことなので、駐車料金や城の入場料が無料だったお返しに買ってみると、妙なぬいぐるみや桃太郎の人形などが入っていた。

 

 

 岡山城のおみやげ福袋

 

 後楽園の駐車場代と入場料も思ったとおり無料だった。広い園内に入り散策する。以前に来たときも感じたが、後楽園は広くて開放的すぎ、とらえどころがない。広くても金沢の兼六園のように凝縮感があればよいと思うのだが、好きになれなかった。それでも園内をくまなく、ゆっくりとまわっていると、元旦に岡山の後楽園を歩いているなんて、よい正月じゃないかと、朝の有様を忘れて思ったりした。

 

 

 後楽園

 

 後楽園の前に1軒だけ営業している備前焼の店があった。古びた店舗で焼き物がたくさんあり、老夫婦がふたりで商売をしている。ここで旅の記念に焼酎カップを求めた。いろいろと酒器をみたが、結局最初に眼について手にしたものを選んだ。百年以上備前焼ひとすじに商売をしているという平井本店というお店だった。

 

 後楽園前の平井本店

 

 パラパラと雨が降ってきた。昼食をとりたいが正月で店がやっていない。何かないかと探しながら走るとガストがあった。ここで遅い昼ごはんをとるが、食事をしていると雨が雪に変わり、しかも積もりそうな勢いになってきた。

 急いで食事を終えて走りだすと、またしても吹雪のような降雪となり、前途が危ぶまれる。時刻は16時で皆さんが心配しているといけないと思い、macさんに電話をすると、赤穂も雪とのこと。しかも積もりそうだから早く帰ったほうが良いとのことだった。チェーンは持っているが巻くのはいやなので焦って南下すると、雪は止んでくれた。

 ジャスコで食材を買い、国民宿舎で手早く入浴し、キャンプ場にもどった。参加者の方々は帰宅するか転進していて、人数は大幅に減っていた。昨日、強風で大鳴門橋が2輪通行止めとなり、四国にわたれなかったとおっしゃっていたモヤさんは、無事四国に着かれただろうか。残っておられたのは赤影さん、macさん、carrotさん、mikkieくん、秀さん、タカ君と彼女、それに私だ。

 

 

 macさんのスタッブドチキン

 

 昨日はあり余るほど食材があったので今日は鳥塩鍋だけとしたが、他はmacさんのスタッフドチキンとだいくさんが下さったキャベツで、ちょうどよい分量だった。

 昨夜はひどい酔いかたをしたのでゆったりと飲む。mikkie君と話し込んだのはこの日だったか、それとも前夜か。おだやかに宴会を楽しんで、早目にお開きとなった。

 昨夜は無造作に車を止めてまともに寒風をあびたので、今夜は建物の陰に停車して風をよけ、シュラフをきちんと整えて、慎重に床についた。すると寒くもなんともないから、昨夜はやはり相当酔っていた。