2016年 トランポでゆく北海道ツーリング3日目

 

 函岳山頂のレーダー

 

2 名寄にて

 函岳ヒュッテに立ち寄った。トイレを借りたかったのと、前回来たときにアンケート・ノートがあったので、まだあれば記入のためである。そのノートは前回のままにあり、名前、住所、滞在時間と、目的はツーリングと書いておいた。

 11時28分に函岳を出発した。滞在したのは12分だけだが、ひとりで霧の山の中にいる時間は濃密で、こんなに短かったとは後で確認しておどろいた。下りはじめは霧がいちばん濃くなり、視界は3メートルほどしかない。手さぐりするようにゆっくりとバイクをすすめた。

 高度を下げてゆくと霧はうすれ、視界も30メートルほどきくようになる。こうなると走りやすくなりペース・アップしてゆく。ギヤも2速から3速、4速まで入るようになった。ここで2台のバイクとすれちがった。250のオフロードのコンビで、彼らとは互いに手をあげあった。

 霧はうすれてゆき、どんどん走りやすくなる。加須美峠では晴れてくれた。峠にはデリカの男性がいて、ガスのかかる山頂をみて、ゆくのかどうか思案をしているようだった。

 加須美峠からの下りは、上がってきたばかりでようすがわかっているからガンガンと飛ばしてゆく。直線でアクセルを開けるとカーブの手前で減速が間にあわなくなり、道から飛び出しそうになる。自重しなければいけないと思うが、自然にペースはあがってしまうのだった。

 

 函岳からの下り 視界は3メートル

 

 ラストの3キロの深ジャリはペースをおとし、13時20分に林道の入り口にもどってきた。57キロのダート走行は終わったのだ。これから走れる可能性のある林道は、名寄のピヤシリスキー場からピヤシリ山の登山口までつづく、ピヤシリ越林道だと思う。そこでまず名寄の町でカメラをさがして、その後でピヤシリ越林道にゆくことにした。

 自動車専用道路の名寄美深道路はつかわずに、国道40号線でカメラのありそうな店をさがしながら名寄に南下してゆく。名寄の町に入るも家電店はなく、町のはずれでホームセンターのベストホームをみつけた。

 ベストホームではカメラをあつかっていなかった。そこで近くにありそうな店舗はないかと店員さんにたずねてみると、ヤマダ電機とケーズ電気があると教えてくれた。国道沿いではなく、そこから西に折れたところにヤマダ電機とケーズ電気がならんでいて、近くにイオンもあった。

 まず手前にあったヤマダに入ると、次に買うならこれだと思っていたソニーのコンパクト・カメラがある。価格は12386円だったと記憶する。これを買えれば御の字なのだが、念のために隣りのケーズ電気も見にいってみた。すると同じモデルが10800円ででている。ヤマダはポイントがつき、ケーズはないから、ケーズの方が安いのが道理だが、それ以上にお得なので、ケーズで買うことにした。

 店員をよんでこのカメラがほしいと言うと、なんと品切れだった。同じような値段で他のメーカーのモデルも展示されているが、それらもすべて在庫切れとのこと。しかたがないのでヤマダにもどることにした。

 ヤマダにとってかえしてソニーのコンパクト・カメラがほしいと店員につげた。係りの人は在庫を見にゆくがなかなかもどってこない。まさかここも売り切れかと嫌な考えがうかぶが、店員さんはカメラをもってきてくれた。値段は表示とちがって11130円。メモリー・カード1240円もいっしょにもとめ、合計は13359円だった。

 

 函岳にむかう美深歌登大規模林道の入口 函岳まで通行可能の案内

 

 カメラが気になり昼食が後回しになっていた。名寄でチェックしておいた店はないし、国道沿いにも入りたい食堂はなかった。どうしようかと思っていると、HPを相互リンクしていただいている『オートバイの壷』の管理人、Fukishimanさんのツーレポを思い出した。たしか名寄か美深の食堂を利用されているのを読み、気になったのでそれをツーリング・マップル(以後TM)に書き込んでおいたのだ。TMをひらいて確認してみると、名寄駅前の三星(みつぼし)食堂だ。なんという偶然、いや幸運か。ここにゆくことにした。

 14時近くに名寄駅前にゆくと三星食堂はあった。思っていたよりも大きくて新しい店舗なのでおどろく。もっと小さくて古い、典型的な駅前食堂なのかと想像していた。その店内に入るといろいろなメニューがあるが、Fukishimanさんがたべていたジンギスカン定食750円を注文する。客は5・6組もいただろうか。14時という時間だったが盛業だった。料理をつくるのはご主人で、他に女性が3人いて店をまわしていた。

 料理が来るまでの間にカメラを箱からとりだして電池を入れた。するとカメラは起動してくれた。充電しなければ動かないだろうと思っていたので、これは望外の喜びだ。さっそく日付や時間の設定などをしていると、早くもジンギスカン定食がやってきた。

 

 ジンギスカン定食

 

 ジンギスカンはトラディッショナルな外観だ。タレに漬け込んだ羊肉と野菜を炒めたもので、肉野菜いためのような感じである。少し羊のにおいがするが、私はこのくらいのほうが好みで、それも食べているうちに気にならなくなる。肉と野菜はたっぷりとあり、ご飯が足りないくらいだった。

 美味しいので一気に完食してしまい、皿にのこった汁まで飲んでしまった。Fukishimanさんに感謝である。14時20分に店をでたが、昼の営業は14時30分までだったので、これまたラッキーだった。

 手塩川は増水していたが水は澄んでいた。名寄川と美深川もあったがこちらは平水だった。函岳は霧で景色は楽しめなかったが、行ってよかったと思う。行けるときにはゆくべきなのだ。ピヤシリ山の登山口につづくピヤシリ越林道にむかうことにする。やはりHPを相互リンクしていただいている『気楽にやりましょ』(現在休止中?)の管理人のじゃばさんによると、ピヤシリ山登山口の先、雄武側の奥幌内本流林道は通行止めとのこと。それでもピヤシリ・スキー場から登山口までは走れるだろうと考えてゆくことにした。

 

 ジャンプ台

 

 林道の入り口であるピヤシリ・スキー場にむかう。名寄の町から7・8キロである。スキー場に近づくとジャンプ台が見えてきた。ノーマル・ヒルとラージ・ヒルかと思ったら、ノーマル・ヒルとミディアム・ヒルだそうだ。他では目にすることができない光景なので、ここに来るとかならず写真をとってしまう。

 ジャンプ台の先がスキー場で、ゲレンデが林道の入り口になっている。入ってすぐは深ジャリで走りづらく、森林の中をグネグネと曲ってゆく道だ。2キロごとに距離の案内がでている。遭難注意の看板も多い。民間ヘリが捜索する場合は、1時間に127万円かかるとも書いてあった。

 雄武方向へは通りぬけできないと表示がある。じゃばさんの情報のとおりだ。ピヤシリ越林道には舗装部分もある。未舗装とアスファルトの路面が交互にあらわれるのだが、舗装は4分の1くらいだろうか。14時55分に林道に入り、15時20分に10キロのダートを走り切ってピヤシリ山の登山口についた。

 

 ピヤシリ山登山口 右がピヤシリ山の山頂 奥につづくのは雄武方向にすすむ林道

 

 ここまで誰にも会わなかったが、登山口にはライトバンがとまり、中に男性がふたりいた。そのうちのひとりが、山頂までゆきますか?、と聞いてきた。2キロ先の山頂までバイクで登れると以前のTMには書いてあったが、2016年版では徒歩にて2キロと記載されている。男性は林道の管理をしている方で、たったいま山頂を巡視してきたそうだ。私はここで引き返すつもりだったので、いきません、と答えたが、希望すれば走れそうな感触だった。また雄武方向は、ここから4キロ先でゲートで閉鎖されているとも教えてくれた。

 日曜日なのに巡回とはたいへんである。男性たちは山を下っていったが、私はバイクからおりて写真をとった。しかし小さなアブのような羽虫がたくさんまとわりついてくるので、早々に退散することにする。4キロ先の通行止めポイントまで行ってみようかという気もしたが、15時30分をすぎているのでやめておく。旅では精力的にというのがモットウなのだが、年のせいかガツガツとしたところがなくなったようだ。

 

ピヤシリ越林道のストレート 

 

 

 

 

 

 

 

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