2016年トランポでゆく北海道ツーリング9日目

 

 フェリー・ターミナルにて

 

1 小樽にて

 昨夜は22時に寝たが0時すぎにトイレにいった。監視員はまだたっていて、一晩中立ち番をつづけているようだ。3時半にも目が覚めてトイレにゆくが、別の人が張り番をしていた。その人の横をとおってトイレにいってまたもどってきたが、もちろん何も言われない。場所柄、飲んできて仮眠をとる者などザラにいるのだろうから。しかしその人の目が気になって眠れなくなってしまった。気にすることはないと頭ではわかっているのだが、パーキングは泊まるところではないから気持ちが落ち着かない。そこでまだ時間は早すぎるのだがここを出ることにした。

 車内の整理をして4時すぎにパーキングをでた。料金は1600円だ。酒はぬけたが鼻が赤い。早朝だから警察の取り締まりも気になる。スマホ・ナビに小樽フェリー・ターミナルと打ち込んで走りだすと、本調子でないことはすぐにわかった。セブンイレブンに入って小物を買い、ここの駐車場で30分横になった。

 セブンイレブンから走りだすと牛丼のすき家があった。発寒店だ。ここで納豆朝食300円の食事をとった。新潟に上陸したらガスの心配をしなくてすむように満タンにしておく。10,7K/L。単価は115円。となりで給油していたのは柏ナンバー(千葉)の車だった。

 以前にも利用したセイコマ小樽桜町店にはいる。船内での食料を購入した。このままターミナルにいっても4時間待ちだ。そこで時間つぶしのために小樽運河にいってみることにした。

 フェリー・ターミナルの入口をすぎて小樽運河にむかうと、港で釣りをしている人がたくさんいる。運河よりも海釣りのほうが何倍も興味があるから見にいった。

 

 岸壁で釣り 足下に鮭とトンカチ

 

 岸壁なのでサビキ釣りでアジでも狙っているのかと思った。しかし釣人たちはルアーを投げている。何を釣っているのかなと思ったら、釣人の足下に鮭がころがっていた。新巻になりそうな立派なサイズの鮭だ。銀ピカの魚ではなく、ブナとよばれる婚姻色のでた個体だが、これがつれたら嬉しいだろう。

 釣り方はスプーン状のルアーのフック(針)に赤く染めたイカの短冊、アカタンをつけ、これを投げて棒引きするだけである。これで鮭が釣れるのだからおどろきだ。それもフェリーが停泊しているすぐ近くでである。

 対岸にも釣人がならんでいて、両側からルアーを投げあっている。対岸には柵があるので、その上にたって釣りをしている人もいた。安いロッドにスピニング・リールをセットし、鮭にそなえて大型の玉網とハンマー持参だ。鮭を引き上げたらトンカチで頭をなぐりつけて〆るのだ。魚の血が飛び散っているところがある。〆たらビニール袋に入れて足下にゴロリだ。ワイルドだねぇ。男心をそそる。じっさいに鮭が釣れていたのは30人中ふたりだった。

 

 鮭釣り風景

 

 見物をしていると警官が見まわりにきた。鮭は海で釣るのはよいが、川では禁猟だ。ここは港だが、海と運河の境のような位置で、海あつかいなのか黙認だった。ただ対岸の柵の上にたっていた釣り人は下におりていた。釣人は地元の人だろうと思ったら、とまっている車の中に湘南ナンバーと多摩ナンバーがいて、二重におどろいてしまった。

 釣り見物を切り上げて小樽運河にゆく。運河と小樽駅をバックに写真をとり、フェリー・ターミナルについたのは7時すぎだった。その後はターミナルの待合室にいってメモをつけた。

 

 年季のはいったZU

 

 ターミナルから車にもどろうとするとZUがとまっていた。使い込んだマシンでシートはやぶれ、ヘッドライトにはビニール袋がかけてあり、塗料は色褪せて剥げかかっている。エンジンのオイル漏れもひどく、ナンバーの文字は消えかかり、マフラーやバンパーには洗濯バサミまでついていた。ピカピカのバイクしか見ないから、乗りっぱなしの車体はめずらしい。しかも大人気のZUなのだ。このオンボロで(失礼)北海道ツーリングとはおどろきだ。ちらりと見たオーナーは年配の人だったから、このバイクも新車から乗っているのかなと思った。

 フェリーにのるバイクははじめはセローが1台しかいなかった。その後増えたが思ったほどではない。ライダーたちは初対面でも会話をしているが、トランポの私はそこに加わりがたく、近づかなかった。

 サイクリングの若者たちもいた。大学のサークルだろうか。やがて雨がサラサラと降りだした。セローは3台に増えたがオフを走っているバイクは1台もいない。スズキ・イントルーダーの3人組もやってきた。イントルーダーも20年はたっているだろうがピカピカだ。オーナーズ・クラブの仲間だろうか。

 9時15分から自転車とバイクの乗船が開始され、9時28分に車の順番となった。船倉にハイエースをとめ、バイクの固定を確認して受付にゆく。帰りはツーリストBを予約していた。往きはまちがってツーリストSにしたのだが、一度Sに泊まってしまうと2段ベットのBは嫌になってしまった。B寝台にはコンセントもない。そこで2050円の追加料金をはらってツーリストSにかえてもらったが、ツーリストBもガラガラに空いていたから、そのままでもよかったのだ。

 フェリーが出港するのを見物した。バイクだったこれまでは、船に乗るとすぐ風呂に入り、つづいてメモの整理に熱中していたから見たことがなかった。フェリーが岸をはなれてゆくと、地上の作業員たちがならんで手を振りだす。手をふる。ずっと振りつづけていた。

積丹半島 神威岬

 

 出港を見届けてから風呂にゆき、11時すぎにカップめんとおにぎり、サンドイッチの昼食をとった。その後は軽食コーナーにあるテーブル席でタブレットをながめてすごす。窓からは積丹半島が見えている。神威岬も見えだしたが、フェリーの外の風景を目にしてのもはじめてだった。これまで帰りの船では記録の補足をするのに夢中だったのだ。

 ビンゴ大会があるが、来るときにビンゴ運がないのは再確認したのでゆかない。しかし映画は見にいった。「ネバーランド 夢のはじまり」というファンタジーをたのしんだ。

 船上コンサートにもゆくとZUの方がいたので、思い切って話しかけてみた。ZUは新車で買って40年のっているそうだ。ZU氏は40年をフォーティー・イヤーズと言っていた。北見ノリオという人にバイクのメンテナンスをたのんでいるそうで、北見ノリオという方は名前で検索すればヒットするとのことだが、後日しらべてみてもわからなかった。部品はあるのですか、と聞くと、OKとのこと。ZUはたまに壊れるが直せるし、パーツもあるそうだ。フォーティー・イヤーズよりももっと長く乗っている年上の人もいるそうだが、40年はすごい。ZU氏は英語まじりで話す方だった。65くらいだろうか。(追記DR650クラブのかつぼんさんより、北見紀夫氏の情報を得ました。ゴッドハンドと呼ばれる有名なZ職人で都内で仕事をされているようです。)

 船上コンサートに登場したのは女性シンガーだが英語の曲ばかり歌う人だった。ZU氏はコンサートがはじまるとすぐに席をたってしまった。私も好みではなかったが最後まですわっていた。

 映画の図書館戦争をみたが30分ほどでやめてしまった。また風呂にはいり、風呂上りにサッポロ・クラシックが飲みたいが、売店が閉まっているので自販機で250円の発泡酒を買った。

 窓辺のソファにすわり外の風景をながめながらビールをのむ。ネットにはつながらなくなってしまった。船にのった直後からずっと北海道の無料Pキャン・スポットや穴場、見所の話をしている60台と50台の2組の夫婦がいる。彼らに和琴の無料駐車場でP泊はどうなのかたずねたかったが、やめておいた。

 

 夕景

 

 夕方前に外甲板にでると虹がでていた。自室にもどって焼酎を飲みはじめようかと思ったが、その前に夕日の写真をとることにする。雲が多くて夕空の情景はよくない。それでも17時50分から18時10分まで夕景の撮影をした。

 右に奥尻島らしき島影が見えていた。寒さにそなえて長袖シャツを着ていたが、まわりは半袖の人ばかりだ。薄着では肌寒くて外甲板に長くはいられない。以前の旅では、革ジャンをきていないと耐えられないほど冷えたこともあったのだ。

 S寝台にもどって焼酎をのみだす。ひとりで飲んでいると、いつものようにすぐに眠ってしまった。8時前だったと思う。

                                                                  車の走行距離 38キロ

 

 

 

 

 朝日

 

2 新潟 

 甲板からガンガンと金属音がするので目がさめた。接岸のときの音に似ているので、毎度港についたのだろうかと錯覚するのだが、船はまだ走っている。時刻は4時30分だ。外はまだ暗いが起床して昨夜の日記をつける。ネットにはつながらない。昨日の16時半からずっと不通で不満だった。

 朝日の写真がとりたいので5時に自室をでて外甲板にでようとすると、まだ夜間閉鎖のままだ。ロビーのソファにすわって少したってからゆくと、外甲板は開放されていて、日の出を撮影することができた。しかし雲が多く、昨夜の夕日とおなじように満足な1枚は得られなかった。

 フェリー・ターミナルが見えてきた。これから接岸だと思っていると、このタイミングで車両甲板は開放された。ハイエースの元にゆき、気になっていたバイクの固定を確認するが問題はない。多少船がゆれても、車で走行しているときほど強い力はかからないのだ。

 下船まで時間があるのでバイクを見にいった。ZUの人はまだ車両甲板にきていない。車も見ながら写真をとっていると、早くも車の下船がはじまった。船をおりるのは車からなのだ。急いでハイエースにもどり、前の車につづいてフェリーからおりた。

 

 万代橋

 

 このまま帰るのはつまらないし、時間もあるので新潟見物をしてゆくことにする。新潟といえば万代橋だ。万代橋は前にも見たことはあるが、25年以上も前のことなのでたずねてみた。フェリー・ターミナルのすぐ近くである。撮影ポイントをさがすために付近を何周かしたが、川沿いの場所をみつけてその姿をとらえることができた。

 つづいて繁華街の古町にいってみた。新潟は駅とフェリー・ターミナルにしか行ったことがなかったがこちらが中心だ。三越もあるし雪除けの庇のついた商店街やアーケード街がある。この時間は人通りは少ないが、日中や夜にきたら楽しそうなところだ。

 古町に吉野家があったが車はとめられない。コンビニはあったが他に飲食店は見当たらなかった。そこで以前から利用している新潟駅近くのすき家にゆくことにする。ここは駅前通に面していて、早朝の今は路上駐車をしていても大丈夫そうだ。牛丼並の豚汁玉子セット490円にしたが、いつものこの味がいいんだよね。

 

 すき家の前 奥が新潟駅

 

 これで新潟をでることにする。国道をゆくつもりだったが、スマホ・ナビのおすすめは高速なので新潟西ICから関越道にのった。自動車道路を順調に走行するが、やはり高速代を節約することにして、長岡ICで関越をでた。料金は1100円だ。

 国道17号線を快調にすすむ。浦佐の駅前には田中角栄の大きな銅像がたっている。久しぶりに見たが角さん立派だ。角さんは最近人気がでているが、関越自動車道と上越新幹線をひっぱってきた新潟の英雄だ。

 道の駅、南魚沼四季味わい館で休憩した。産直コーナーをのぞいて野菜などを購入する。この先は峠越えの国道をさけて関越道にはいる。塩沢から月夜野まで940円で有料道路を利用し、また国道にもどった。

 昼食はチェックしておいた高崎か藤岡のラーメン屋にゆこうと思っていたが、国道沿いにもつ煮の永井食堂があった。ここは人気店だし通りかかったのも縁だから、食事をとることにする。しかし日祝日は販売のみで食堂はやっていないからパスすることにした。

 群馬にはいると日差しは強くなり暑くなってきた。事前にしらべておいた高崎の相生町にある評判のラーメン店、清華軒にゆくことにする。スマホ・ナビの案内で住宅街の細い道を入ってゆくが、ナビがないと行けないような立地だった。

 

 清華軒のしょう油ラーメン

 

 店の前の駐車場がちょうど1台あいて車をとめることができた。店に入るとこれまたタイミングがよく4人掛けのテーブル席があいていて、そこに座ることができた。時刻は12時16分だった。すぐに熟年夫婦と相席になり、入店待ちの人がでて、行列になってしまった。

 おすすめを聞くとしょう油味のラーメンとのことで、基本のラーメン650円にして、麺を手打ちにしてプラス50円、それの大盛り100円の800円をたのんだ。

 ラーメンは10分ほどでやってきた。昔ながらの支那そばルックだが手打ちの麺がふとい。食べてみると濃い目のしょうゆ味で昔ながらの中華そばのテイストだ。美味しい。バランスがよくて素朴なところもある一杯だ。ここは相席は当り前で2階にも客席があり、そちらは座敷のようだ。

 群馬から埼玉に入ると太陽はギラギラとしだし気温は30℃をこえた。自宅はちかい。日常に帰ってきてしまった。

                                                                 車の走行距離 375キロ

  

 バイクの走行距離 1115、4キロ     車の走行距離 2104キロ   合計 32020キロ

 

  びふかアイランドにて

 

                                                                 2017 6 11     了

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016北海道ツーリング・トップ