北海道トランポ林道ツーリング1日目と2日目

  

 

  雨の関越道・新潟県土樽PA

 

 1日目 出発

 8月30日。金曜日。夕刻に会社をでると雨がポツポツと降っていた。家に帰っても雨降りはつづいている。出発の準備にとりかかるが、バイクを車にのせるのが2年振りなので不安だ。暑い中歩いて帰ってきて汗もかいているから、ヘルメットを被るのが嫌でもある。それでもハイエースにDRを積載しようとすると、アッサリとやることができた。

 オートバイを積むのは簡単だったが固定するのは手気どった。タイダウン・ベルトを使って車で走っても動かないようにするのだが、久しぶりなのでやり方を忘れていて、あれこれと試行錯誤することになり、汗だくになってしまった。

 シャワーを浴びて出発した。今年も新潟・小樽便のフェリーを利用する。出港は明日の12時だ。いつものように高速代を節約するために一般道をゆく。雨のあがった国道17号線を北上してゆき、群馬県のスーパーとりせんで焼鳥とビール、セブンイレブンでサンドイッチを買った。

 月夜野ICから関越道に入る。群馬県と新潟県の県境である三国峠は長い山岳路なので、高速をつかうほうが効率的なのだ。月夜野は22℃だった。

 関越トンネルをぬけると雨が降っていた。トンネルをでたところにある土樽PAについたのは23時過ぎで、何度も車中泊をしたことのあるここで泊まるとこにした。

 ハイエースのフロアに寝かせておいたラダーをバイクの横にたて、空いたスペースにマットをひろげた。そこに座ってビールを飲み始めるが500mlのロング缶がなかなか飲み干せない。胃がつかれているようだ。ツマミは焼鳥だけでよいかと思ったが、焼酎の水割りをやりだすと胃腸がほぐれたようで、サンドイッチもたべてしまった。

 家内に土樽PAにいるとメールを送り、12時半に横になる。あらためて旅にでたんだ、北海道ツーリンクがはじまったんだと思った。

                                                                      車の走行距離 170キロ

 

 2日目 フェリーに乗船 8月31日 土曜日

 

 早朝の南魚沼

 5時55分に寒くて目がさめた。左右のスライド・ドアに設置している網戸をあけたままにしていて、冷えた外気が流れ込んだのだ。天候は晴れ。カップめんの朝食をとり6時43分に出発した。

 関越道は湯沢でおりてまた国道をゆく。気温は19℃、20℃と表示されている。魚沼の山間部は霧がでていて水墨画のような風景がつづく。車の流れは遅く50キロだ。一昨年は速かった記憶があるので苛々する。小千谷の入口まで速度はあがらず、長岡のバイパスに入ってようやく90キロで流れだした。

 新潟平野は田んぼが延々とつづく。他に多いのは除雪車と重機、鉄工所だ。新潟駅の近くにある万代シティバスセンターの立ち食いそば屋のカレーが大人気になっていると聞いた。庶民的な黄色いカレーなのだそうだ。そのカレーを昼食にしたいと思っていたが、スマホ・ナビによると到着時間は10時10分だ。乗船予定のフェリーは12時出港で、1時間前の11時までにターミナルにつくように案内されている。新潟市街に近づくと混んでくるし、カレーは人気で行列しているようなので、今日はあきらめることにした。

 フェリーに乗る前にガスを満タンにしておく。北海道についたら思いきり走れるようにしておくためだ。燃費は9、9K/L。単価は133円。つづいてセブンイレブンで昼食と夜のツマミを買った。

 10時40分にフェリー・ターミナルに到着した。日差しが強くなり暑くなってきた。船内に持ってゆくものの用意と車内の整理、バイクの固定の確認をする。その後でいっしょに船に乗るバイクを見にいった。

 今年はバイクが多い。これから好天がつづく予報なので乗船を申し込んだのだろうか。それとも元からの予約なのか。アドベンチャー系が多数いるがこの人たちはオフロードは走らないんだよね。

 たくさんいるオートバイを見てまわるとホンダCB750Kがいる。ピカピカの新同車だ。これはすごいと思っているとカワサキW1もいた。これも新車のようなコンディションである。私のDRが30年物だから、この2台は50年物だろうか。それにしてもここまで仕上げた名車で長距離ツーリングをするのは贅沢な遊びだとおもう。何日も走るとどうしても車体が汚れていたむから、ふつうはお座敷バイクにしてしまうからだ。2台のオーナーはそれだけ心と懐に余裕があるのだろう。

 

 

 

  バイクから乗船がはじまり11時30分に船倉にはいった。係員の誘導で船内をすすんでゆくと、お客さん、バイクを積んでますね、と船員に声をかけられる。窓をあけておいてください、と。スライド・ドアの窓が網戸になってます、と答えたが、トランポ・ツーリング3回目にしてはじめてそんなことを言われた。注意されなくとも、毎回車内を密封しないようにしているのだよ。

 フェリーではいちばん安いツーリストCを予約していた。部屋とはいえない上下二段の寝台のようなスペースなのだが、その中に少数だけある、上だけで下がない場所をえらんであった。二段ベットで上段か下段に人がいると神経をつかうから、ここがよいのである。料金は5メートル以内の乗用車1台とツーリストCで往きが21900円、帰りは往復割引がきいて19710円。合計41616円。ハイエースは大きいが乗用車扱いである。

 むかいのベットは40~50くらいのライダーでグループで来ている人だった。寝台に荷物をおくと売店にみやげを見にゆく。家内から指定された品はマルトマ食堂のレトルトのホッキカレーとハスカップ・スプレーで、980円とバカに高いホッキカレー3個とハスカップ・スプレー1080円を1個、4020円でもとめた。フェリーの売店はカードがつかえない。カード会社に手数料を払いたくないというわけだ。私が経営者なら同じことをするが、客としては不満だった。

 船は定刻すぎにドラを鳴らして出港した。昨年までドラはなかったから新しくはじまったサービスだ。ドラはパーサーがあつかっていたが、サービス精神の旺盛な人で客にもドラをたたかせていた。

 後部デッキにいってカップめんやおにぎりなどの昼食をとる。ここに給湯器があるので他の乗客も食事をしていた。13時30分からビンゴ大会があるので、こま時間は空いているだろうと考えて風呂にゆく。行ってみると思ったとおりガラガラだ。露天風呂で海をながめながら長湯をした。

 ロビーで新聞や持参したガイドブック、本などを読む。書籍は六花亭の運営する中札内美術村に個人美術館のある、小泉淳作という画家のエッセイだ。今回の旅では小泉の美術館をたずねたいと思っていた。

 16時から洋上コンサートで日の入りは18時14分とのこと。冷えてきたのでTシャツ、短パンから長袖シャツ、長ズボンに着替えた。船内は時間がたつにつれてエアコンの効きがよくなってくるのである。コンサートはCLOVERという男女デュオの弾き語りで、ふたりの歌をたのしんだ。

 ベットにもどり画家の小泉淳作のエッセイを読み終えた。読了してしまうのがさみしいほど引きこまれたが、発見もあった。小泉が子供の頃に家に愛染明王像があったそうだ。その像は今、世田谷の上野毛にある五藤美術館にあって、以前私も見ていた。神秘性のある仏像だが情念もこもっていて、この像が忘れられなくなっていたのだ。その愛染明王像を小泉が見て育ったと知って、勝手に親近感をもったのである。

 日の入りまで時間があるのでまた風呂にゆく。貧乏性ゆえの行動だがさっぽりとした。17時55分にデッキにゆく。夕日をながめるが空はあまり焼けないから、紅色があざやかにでなかった。

 太陽が完全に沈んでからサッポロ・クラシックを330円で買ってきた。日が暮れても空は変化してゆくが、この日はそれもよくなかった。

 空の色が暗色に落ち着くとベットにもどり、片肘をついて焼酎の水割りをのむ。サンドイッチと漬物が酒のアテである。むかいのライダーは不在だ。今朝新潟港にむかいながら、帰りのことをしきりに考えてしまった。一週間後には旅は終わってしまったなという残念な気持ちと、無事にもどってきたという安堵の心で、この道を引き返してゆくのだろうと。何度も放浪をしているからツーリングの終わりが見えてしまうのだ。

 むかいのライダーは一度帰ってきたが、また仲間によばれて飲みにいった。すでに一杯やっていたようだが飲み足らないようだ。ツーリングのはじまりで高揚しているのだろうが、バイクで二日酔いは辛いから、ほどほどで切り上げればよいのだが。横になって飲んでいるといつの間にか眠っていた。

                                                                   車の走行距離 203、9キロ

 

 

 

  

 

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