文学2005 日本文芸家協会=編 講談社 2005年 3300円

 2004年度に文芸誌に発表された作品のなかから、文芸家協会が選りすぐった短編集。

 『文学2004』につづいて、未知の作家を発掘すべく本書を手にとった。読んでみると私には良さのわからない作品も選ばれていたが、2004よりもレベルが上である。魂をゆさぶられるような小説も散見され、触発されて、久しぶりに物語を書きたくなった。

 掲載されているのは以下のとおり。

 馬小屋の乙女 阿部和重  空を蹴る 角田光代  海 小川洋子  片乳 小野正嗣  トムヤンクン 小林紀晴  夕餉 山田詠美  そらいろのクレヨン 蓮見圭一  人生の広場 池澤夏樹  寝室 江國香織  あなめあなめ 大庭みな子  星辰 河野多恵子  むかご 佐伯一麦  姫と戦争と「庭の雀」 笙野頼子  土木計画 多和田葉子  恋しくば 津島祐子  海の背広 平出隆  トンネルのおじさん 堀江敏幸  地上にひとつの場所を!  櫻月 高井有一  R51・ルール 藤原智美  伝令兵 目取真俊  タイムシュア 茅野裕城子

 蓮見圭一、池澤夏樹、河野多恵子、佐伯一麦、平出隆、高井有一、目取真俊、そして解説の中沢けい、がよかった。 

 ちなみに掲載誌を集計してみると、新潮が13、群像が6、すばるが2、文学界1、と新潮の圧勝であった。

 

 

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