7月30日(土) 函館の夜

 ユースの朝の出発風景はどこもおなじだ。島牧YHでも玄関前にホステラーとヘルパーがならんで記念撮影をする。その日にたまたま泊まっただけなのに、女の子ともすぐに友達になれるのがYHの魅力だ。たがいに写真をとりあって出発する。XL氏はせっかくのYHだからチェックアウトぎりぎりまでのんびりすると、横になっていた。

 海岸線を南下していく。天候は曇り。右手にみえる海は泥のようににごった色をしている。岩礁帯がつづくが雨がおちてきてカッパを着たり脱いだりで、景色も楽しめない。江差の手前で内陸にはいり、山越えで函館にいたる。これで北海道一周をなしとげたのだ。達成感と高揚感を胸に函館の街にはいっていく。

 函館市内の観光地でまだ見ていなかった山の手をまわる。外人墓地や旧函館区公会堂、旧ロシア領事館など。近い場所にあるのでバイクをとめて歩いていく。雨はあがって気温も上昇し、革ジャンを脱いでポロシャツで散策した。

 

 山の手というだけに丘の上にあり、眼下に函館の街やその先の海までが見通せる。景色がよい。函館はよいところだなと実感した。

 函館では北星荘YHに泊まった。ここはツーリング・ライダーばかりだった。ほかは女の子がふたりだけ。バイクはCB400F、CM400カスタム、CBX400F、VF400Fとなぜかホンダばかり。そこは私のスズキGSXだ。

 陽が落ちてからバイク組で函館山の夜景を見にいった。山は通行禁止なのでバイクをふもとにとめてロープーウェイでのぼる。夜景はそれなりにうつくしいが、町っ子の私にしてみれば2分も3分も見ていられるものでもない。すぐに飽きてしまった。

 ほかのバイク組もおなじですぐに山をくだった。帰路は自然と競争になる。車のつながる街中ですりぬけ合戦だ。CBXがトップ、つづいて私。昼に町を歩いていて道を熟知している。トップが直進していくところを左折すると、誰も後についてこない。こっちのほうが近道なのに。かまわず突っ走れば当然一番だ。ヘルメットとグローブをとり余裕でみんなをむかえる。CBXは大阪圏のナンバーだった。ひとりが私とCBX君を見ていった。大阪と首都圏ナンバーの人は運転が荒い、と。

 YHでビールを飲もうという相談になった。当時は飲酒禁止のYHが多く、こっそり酒を買ってきたが、ペアレントに見つかってしまう。しかし、ああ、ビールね、の一言だけ。YHでの飲酒禁止がなくなりつつあったころであった。

                                  走行距離  250キロ

 

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