枯葉の中の青い炎 辻原登 新潮社 2005年 1400円+税

 辻原登ははじめて読んだ。本書は表題作のほか五編の短編小説を集めて編まれた短編集だ。いずれも技巧を凝らした味のある作品。テクニックにはしりすぎて実験小説めいたものもある。

 日常から異常な世界に踏みだした主人公たちの、冷え冷えとした心情をえがくのがうまい。頭で書いている印象はあるが、リアリティーはあり、ブッキッシュではない。そして情熱的ではない。したがって読んでいて熱中しないが、疲れない。ほどよい充実感が得られる、いぶし銀の枯れた作風。

 著者は芥川賞作家。ほかの本も読んでみたい。

 

 

 

 

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