2016年トランポでゆく北海道ツーリング7日目

 

 キャンプ場の朝

 

1 屈斜路湖畔林道と虹別林道

 5時10分に起床した。気温は15℃くらいだろうか。肌寒い。昨夜はスリー・シーズ用のシュラフだけでは寒くて、上から毛布をかけて寝た。セイコマ・ブランドのカレーうどんで朝食とする。天候は晴れ。根室方向は晴れているが、これからむかう屈斜路湖方向は雲が多い。午前中はくもりで午後は天気がくずれる予報だが、根拠なく大丈夫だろうと思った。

 ゲートが開かないので車内の整理をして掃除機までかけた。まだ時間があるので効楽苑の写真をとりにゆく。夜と雨天の画像しかなかったので日中の姿をとりたいと思っていたし、時間を無駄にしたくないので歩いていった。

 車を無料駐車場にうつす。今日はダートを走る予定だから、帰ってきたときにバイクの泥を流せるようにバケツに一杯の水をくんでおく。チェック・アウトした後で水道をつかったら、ルールのことばかり言う管理人が大騒ぎをするのは容易に想像がつくので。バケツは車の中にしまっておいた。しかし客にこんなに神経をつかわせる管理人は、他にいないだろう。

 その管理人が着たのでチェック・アウトする。7時すぎだった。管理人は南は晴れていると言うが、北にゆくつもりだと答えた。7時10分に出発する。寒いので革ジャンをきていた。シャツの上に革ジャンではまだ肌寒いのだが我慢していった。

 まずむかうのは屈斜路湖畔林道だが、余裕をもって行動しようと思い、景色のよい牧場のひろがるところでバイクをとめた。写真をとり、天候はくもり、今日一日振られずにすむだろうか、とツイッターに投稿した。

 

 セイコマで雨宿り

 

 弟子屈に近づくと雨粒がヘルメットのシールドにつきだした。やがてサラサラと降りだしたのでセイコマに入ってやりすごすことにする。ゴミを捨てさせてもらってホットコーヒー100円を買った。

 ここでセーターを着た。革ジャンにセーターである。セイコマにはSRとヤマハBOLТのライダーもいた。ふたりはカッパを着ている。そのSR氏に、雨は止むんじゃないですかね、と話しかけると、北の空を指し、網走にゆくけど、あの雲は完全に雨でしょう、との答えがかえってきた。SR氏も週末までの日程だそうで、この先の天気は悪そうだと話し合った。こういう場面でトランポで来ているとは言えない。バイクで来ているように振る舞わなければならないのが、後ろめたい気分にさせた。

 雨は希望どおりにあがってくれた。今だと思って走りだす。しかし和琴をすぎたあたりでまた降りだしてしまう。ザーッと雨粒が落ちてきたので、たまらずにカッパとブーツ・カバーをつけた。

 

 屈斜路湖畔林道は通行止め

 

 津別峠の分岐をすぎて美幌峠にむかってゆくと屈斜路湖畔林道の入口についた。ここが今日のご馳走だ。さっそく林道にはいってゆくとすぐにゲートがあり、ここで道路は閉鎖されていた。扉には案内が貼ってあり、一昨日の雨のためではなく、少し前に北海道を直撃した台風のためだと書いてあった。

 台風が三つもきたのだから風倒木はたくさんでただろうと思っていたが、時間がたっているので整備はすんでいるだろうと考えていた。それだけこの林道は利用価値がないということなのだろう。

 

 長期滞在車

 

 屈斜路湖畔林道を走る時間が浮いたので一気にのんびりモードになってしまった。そこでいつも泊まる和琴にゆくことにする。和琴半島の入口にある駐車場にゆくと、数年前にここで見た首都圏ナンバーのハイエース・スーパー・ロングがいた。たぶん毎年ここで夏をすごしているのだろう。ルーフにはパラボラと地デジのアンテナが装備されていているのが、長期滞在者らしいオーラをはなっていた。

 この駐車場は今年のPキャンの候補地だったところだ。車中泊の車があつまっているのですごしやすいし、無料の上に清潔なトイレもあるからである。しかし別海町ふれあいキャンプ場をつかってみたくてそちらをえらんでしまった。

 ハイエース・スーパー・ロングのほかにハイエース2台とキャンピングカーが1台とまっている。外出している気配のスペースもあるから、別に何台かここをベースにしているようだ。本当はこの奥にある民間の和琴半島湖畔キャンプ場を利用したいのだが、車は湖の近くにとめられないからつかわなかった。湖が見えなくてはここの魅力がなくなってしまうからだ。

 

 屈斜路湖 露天風呂から和琴湖畔キャンプ場方向を見る

 

 和琴半島のつけ根にある無料の露天風呂を見にゆく。湖岸の砂浜をあるいてゆくと、男性がふたり湯に入っているのが見える。近づくとふたりは風呂からあがった。湖は雨で増水しているようで露天風呂とつながっている。湖水が露天風呂に流れ込んでいる感じだ。風呂には藻が繁茂している。湯加減を手でたしかめてみると、適温だよ、と風呂上りの男性がおしえてくれる。たしかによい感じだ。40℃くらいだよ、ともう一方の人が言う。入ろうかなと思う。林道は走れなかったから代わりに露天風呂につかればよいのではないかと考えた。旅ではエネルギッシュに行動するというのがモットウなのだ。しかしカッパにブーツ・カバーまでつけているから、脱いだり着たりが面倒でやめてしまった。

 駐車場にもどってゆくと母娘が歩いてきたから、風呂に入らなくてよかった。おっさんが入浴していたら女性たちは嫌だろうし、こちらもバツが悪いから。国設の和琴キャンプ場も見にいってみた。リニューアルされてとてもきれいになっているが、料金も値上がりしていて1泊1000円になっている。気持ちのよさそうな芝生のサイトだが、半額の和琴湖畔キャンプ場(民間)のほうがよいなと感じた。

 つぎの目的地である虹別林道にむかう。開陽台につづく道道885号線に林道の入口はあり、昨日もここを通っている。虹別林道は西別岳の登山口になっているから、道の整備はされていると予想した。

 雨が降ったり止んだりだが、またふりだした。虹別林道の入口の目印は孵化場の看板だ。TMには分岐に志鎌牧場とあるが、牧場の看板は木の枝葉で見えなくなっていた。11時に分岐を折れて林道にむかう。孵化場の横をとおって林道にアクセスするルートだったが、新しい道ができていて、孵化場を避けてゆくようになっている。孵化場は衛生上、部外者を近づけたくないのだろう。

 

 虹別林道

 

 アスファルトの道は走りやすいダートになった。やがて林道に入るとヌタヌタの泥の道で、大きな水たまりが連続する。底が見えない水たまりを3個ほど通過したところでバイクをとめた。ずっとこんな道ではスリップ・ダウンしてひどいことになるのではないか。足場が悪いところで転倒したらバイクを起こせなくなるかもしれない。ツルツルのダートで転んで苦しんだことを思い出した。

 弱い雨が降りつづけていることもあり虹別林道は断念することにした。2本の林道が走れないのにまだダートに未練があり、笹の沢林道で川北の湯にゆきたいが、空模様によっては尾岱沼にしようと思う。いずれにしても晴れている方向にすすもうと決めた。

 

 丹頂鶴のつがい

 

 西別岳の入口からはなれて開陽台方向にむかうと雨はあがった。路面もかわいている。更にすすむと晴れてきた。開陽台を通過して北19号線を走行してゆくとと白い大きな鳥がいる。見たことのない鳥だ。もしかしたら鶴だろうかと思ってバイクをとめた。鳥はつがいだが鶴だと確信がもてないでいると、地元の方が自転車でとおりかかった。ツナギを着た農家と思える初老の男性で、その人にたずねると丹頂鶴だとおしえてくれた。この付近でつがいでいるのをたまに見かけるそうだ。牛用の飼料のデントコーンというものを食べにくるとのこと。鶴だけではなく白鳥もやってくるそうだ。

 地元の方は今年は雨の多い年で天候不順だと話してくれた。地元の方と鶴と別れて北19号線から道道975号線とつないで川北の湯にむかう。しかし川北の湯がある方向の山には雲か霧がかかっているので針路を標津に変更した。

 標津方向は晴れている。カッパを着ていないライダーもやってくるから、この先の天候に期待がたかまった。昼時となり食堂が気になりだす。標津の町には武田という郷土料理の有名店があり、日本一のイクラ丼、と看板がでている。その店には観光バスがとまっているが、イクラ丼に高い金をだす気にはなれないから通過した。

 標津で太陽をつかまえた。海の上では雲が切れて青空が見えている。海辺でカッパを脱ぐことにした。雨具の上着とブーツ・カバーははずしたが、ズボンは寒いのでそのままとした。

 尾岱沼にむかう。野付半島の行き止まりまでいってみようと意気込んでゆく。今日は最終的には根室半島の先端である納沙布岬にゆきたい。雨は避けられそうだから野付半島の次は納沙布岬までいってキャンプ場にもどることにした。

 野付半島に入ると放棄された牧場やくずれかかったサイロがあってうら寂しい雰囲気だ。最果てのこの地は自然がきびしくて、現金を稼ぐのがたいへんなのだろうかと想像した。

 

 野付半島は霧と雨

 

 霧がでてきた。やがて風が強くなり雨までふりだす。第二しべつ展望PAがあったのでバイクをとめたが、野付半島の先は霧か雨で真っ白になってしまったので、ここで引き返すことにした。

 野付半島から離れると雨はやんだが、根室方向に南下するとまた降ってきた。脱いだカッパをまたつける破目になる。弱い雨だが面白くない。キャンプ場においてきた車も気になった。無料駐車場にとめてあるとはいえ、長く駐車しておくと勘違いしている管理人がうるさそうだ。元々午後は雨との予報でもあり、ここでバイクから車にのりかえて、管理人と縁を切ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

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