2017北海道トランポ林道ツーリング4日目

 

 ヌプタからの風景

 

林道通行止めの1日 

 3時半にトイレにおきると星がすごかった。おびただしい数の星くずが空にちらばり、天の川のようなものも見える。こんな星空を目にしたのは久しぶりで、しばらく夜空をながめていた。

 5時に目がさめたが寒くて起きたくない。二度寝して6時に起床した。ラジオでは帯広の最低気温は10、7℃、陸別は2、7℃と言っているから、高原のヌプカは10℃を切っているのは確実だ。寒いのを覚悟して車の外にでたら思ったほどではない。天候は快晴だ。若者たちはまだ眠っている。テント泊ではきびしい冷え込みだが、地元の人たちだから装備はととのっているのだろう。

 晴れていて景色がよく見えた。牧場と大農場、境界林などがひろがっている。朝から胸のすくような風景が見られて気分がよい。ヌプカに泊まってよかったと思う。コーヒーをいれて飲み、カレーメシの朝食をとる。カレーメシはに2度目だが、今日はよく混ぜておいたのでおいしく感じられた。ラジオでは日中の最高気温は24℃になると言っているので、ヒートテックの上下とセーターは着たが、冬用のジャケットにするのはやめてスリー・シーズンにした。

 連泊することにしたのでロッヂに申込書をかきにゆく。受付は10時からだが、時間外のコーナーがありそこに書類と料金をいれておいた。年配の女性が景色をながめながらゆったりと歩いてきた。絶景を見ながら散歩をしているようだ。ここはそうしたくなるところだ。コテージがキャンピングカーに泊まっている人なのだろう。

 DRはキック3回で始動した。7時40分に出発する。ヌプカから山を下ってゆくが、ヒートテックの上下とセーターを着用してちょうどよい気温だ。上士幌のナイタイ高原にむかう。道道をゆくが雄大な大牧場や農地、直線路がつづく。これぞ北海道という風景なのでバイクをとめて写真をとった。

 

 豊岡見晴し台駐車公園から上士幌につづく直線路

 

 豊岡見晴し台駐車公園の角をまがっても真っ直ぐな道はつづいている。この公園には周辺の案内図があり、幌加温泉が無料だと紹介されていた。4種の源泉がある、探してみよう、とあり、横を通過する予定なので立ち寄ってゆこうかと考えた。

 今日は虫が少ない。冷え込んだので死んでしまったのだろうか。昨日はたくさんいたモンシロチョウもほとんどいなかった。

 8時すぎにナイタイ高原についた。入口には7時オープンとあるが、朝早くてまだ観光客はいない。山の上のトラクターがおいてある展望台についても私ひとりで、バイクをとめて風景をながめた。眼下には大牧場がひろがっているが霞んでしまっている。それが残念だ。ナイタイ高原は牧場しか見えないが、ヌプカは農地や市街地、山も見えるからヌプカのほうが好みだ。ヌプカに泊まっているからナイタイ高原にくる必要はないのだが、ルートの関係でここにきたのである。

 

 不二川迂回林道の入口

 

 展望台から下り、ナイタイ高原の出口を来た方向とは逆の左にゆく。ナイタイ牧場の施設がたちならぶ先に不二川迂回林道があるのだ。TMに、深ジャリダート14キロ、とコメントされている林道だ。すぐに入口はあったが、工事中のため通行止、の看板がでていた。役所や建設会社名は書かれていない。ただ、工事中につきご協力下さい、とあり、この案内板にどれだけの強制力があるのかわからないが、誰かともめるのは嫌なので、進入するのはやめておいた。これがこの日の通行止めのはじまりだった。

 不二川迂回林道を通れないので上士幌にもどり、国道273号線で糠平湖にむかうことにした。途中に芽登温泉にゆく道道468号線があり、芽登温泉も今日の目的地なのだが、まず北にある林道を走ることして先にすすんだ。

 糠平湖を通過してゆく。旧国鉄の遺構が点在し観光客があつまっていた。豊岡見晴し台公園で知った無料だという幌加温泉にむかう。今日は音更川本流林道の奥にある岩間温泉と、芽登温泉に入りたいと思っていたから、幌加温泉もいれると3ヵ所の湯につかることになるなと考えていた。

 幌加温泉の入口についた。国道から左に折れてゆくと2キロほどで建物が見えてきたが、廃業した崩れそうな温泉宿だ。廃墟と空き地の先にボロイ温泉宿があるが(失礼!)、ここは入浴料500円と書いてある。鹿の谷の湯という宿だ。中をのぞくて雑然としていて、商売をしているようには見えないが、中に老婆がいて私のことをうかがっている。そして私が客ではないと見定めると、奥に引っ込んだ。

 無料だからここに来たのである。有料なら入る気はないから立ち去ることにした。帰ってからしらべてみると、廃業した宿の源泉と湯船があったらしいが今はないようだ。そしてボロくて荒れていた(失礼)鹿の谷の湯はとても評判がよいから、機会があれば利用したいと思う。

 

 音更川本流林道のゲート

 

 国道273号線にもどって北にある音更川本流林道にむかう。元々この林道の奥にある岩間温泉につかることが第一の目的なので胸を高鳴らせてすすむ。しかし林道入口につくとゲートは閉鎖されていた。道路決壊のためとあり通行禁止だ。車が2台とまっているのは登山者のもののようだ。自動車をここにおいて歩いて山に入ったのだろう。これではどうしようもないのでここも諦めることにした。

 これからどうするのか地図をみて考えた。すぐ北に三股・置戸林道があり、TMに、フラット・ダート24キロ、三国峠、石北峠をパスするルート、道幅広く車の通行多い、とコメントされている。このルートの周辺には林道が何本もはしっていて、今日の目的地のひとつなので、三股・置戸林道をゆくことにした。

 国道を北上すると古びた木の看板のたつ林道の入口についた。置戸町へ40キロ、北見へ65キロとある。入ってゆくと置戸越林道と林道看板があったが、ここもゲートが閉まっている。またしても道路決壊だった。

 どうしようかと考える。芽登温泉までもどって周辺の林道を走るのか、それともこのまま国道273号線をすすんで三国峠をこえ、国道349号線で東にいって、北から置戸湖付近の林道にアクセスするのか。これから昼時になるが、芽登にいったら食堂はおろかコンビニもあるのかわからない。一方の国道349号線沿いでは食事には困らないだろうから、三国峠、石北峠と国道をゆくことにした。

 三国峠にのぼってゆく。高架橋を見下ろすことができるビュー・スポットでバイクをとめた。眼下にひろがるのは大森林地帯だ。この光景もここに来なければ見ることにできないものだ。

 風が強くなった。バイクがあおられるほどだ。走りだそうとすると別体式のETCアンテナにカミキリムシがいるのに気づいた。高原性のハナカミキリムシだ。走りだせば風で飛ばされてしまうだろうと考えたが、60キロでも70キロになっても虫はしがみついている。やがて三国トンネルに入った。長いトンネルの中にとりのこされたら、道路までもどれなくなるだろうと思って速度をおとす。トンネルをぬけたところでカミキリムシを指先ではじき、森にかえしておいた。

 

 大雪高原の入口

 

 大雪湖につくと林道があった。露天風呂あります、と大雪高原荘の案内がでている。TMを見てみると、走りやすいダート10キロ、とあり今日は通行止めばかりで林道を走れていないから、ここに行ってみることにした。

 出だしは広いダートでとても走りやすかった。工事をしていてダンプカーがやってくるがすれ違いも楽々だ。これは楽勝だなと考えてすすんでゆくと、残り6、4キロで道幅はせまくなり、ふつうの林道になった。それでも走りやすいジャリ道だったが、残り2キロになると深ジャリがあらわれる。急坂もあって走りづらく、手こずった。

 こんな山奥に温泉宿があるのかと思うほど山は深い。やがて頭上はひらけて広場にでた。大雪高原についたのだ。建物が三つたっていて手前にあるのはヒグマ情報センターだ。正面は温泉宿で奥にあるのは山岳パトロールだった。

 ヒグマ情報センターに興味をひかれるのでまずここに入ることにした。大雪高原には高原沼コースという周遊路があり、ヒグマ情報センターがその入口になっている。クマがたくさんいるから登山者に注意を喚起しているのだろう。ヒグマの生態が解説してあるが、早朝、夕方、濃霧は彼らの時間なので山に入るのはやめようとあり、それを肝に銘じておいた。

 大雪高原山荘にゆく。日本秘湯の会の提灯がかかっているがたしかにここは秘湯だ。入浴料を見ると700円もする。高いから迷うが、ここまで来たら温泉につかるしかないだろう。でも割高だなと思いつつ山荘に入ると食堂がある。昼時だからここで食事をとるのもよいだろう、もしかしたら温泉と食事のセット券があるのではないかと考えると、あった。入浴と料理で1600円だ。これにすることにした。

 

 大雪高原山荘の露天風呂

 

 自動販売機でセット券を購入して受付にもってゆく。まず風呂に入ることにすると、食堂に席を用意しておいてくれるとのこと。風呂場にゆくと誰もいない。ここも私の貸し切りだ。よい色をした内湯と露天風呂がある。内湯につかると熱い。しかしすぐにぬるくなった。体が冷えていたのだ。

 露天風呂にうつると頭上は青空だ。顔がほころぶ。この温泉につかってよかったと思う。今日はこの湯だけで満足だ。最高に気分がよい。それに山奥のこの場所で700円なら高くない。むしろ安いのではないか。前言訂正である。ここでも自撮りをしたがはじけた笑顔になっていた。

 風呂からあがって食堂にゆくと予約席がとってあり食事の用意ができていた。鍋がメインで席につくとそれに火がつけられる。料理は山女の塩焼きと煮物にサラダだ。キノコと野菜の鍋からはよい出汁がでている。川魚もおいしい。料理も若い女性の接客も素朴だが心がこもっていた。料理だけなら☆5点満点平均3点で3、0点だが、場所と雰囲気をプラスして3、5点。

 

 大雪高原山荘の昼食

 

 12時15分に大雪高原を出発する。最初の2キロは急坂の深ジャリだ。きびしいところが2・3ヵ所あり、そこはギヤをローまで落としてゆっくりと下った。2キロをすぎると路面は落ち着くから肩の力をぬくことができた。幅広のフラット・ダートまでもどれば飛ばすことができるので、アクセルを開けてガンガンと走った。

 国道39号線にでて石北峠にすすんだ。階段をのぼった先にある展望台にいってみたが景色はよくない。広がりと変化がないのだ。気温は13℃と冷えていたが、峠を下ってゆくと14℃、15℃と上がっていった。

 国道39号線沿いにある林道の入口をさがす。TMには、52号線林道の看板が入口、とあり注意してゆくと首尾よくみつけることができた。ここが置戸湖の北にひろがる林道群の入口だ。三国峠の手前の三股・置戸林道が通行止めだったから、北からまわりこんできたのである。

 入ってゆくと走りやすい林道だ。1キロゆかないところに二股があり、轍のはっきりしている左にすすむことにする。畑から林の中に入ってゆくと1キロほどで三股にでた。ここに3台の工事の車がとまっていて男性がひとりだけいた。その方は、ここには来たばかりだから道に詳しくないそうだが、置戸湖にゆくと表示されている右の道はくずれていて通行不能と聞いているとのこと。真っ直ぐゆく林道は草が刈ってあるからどこかに出るかもしれないと教えてくれた。

 あらためて三つのルートを見てみると、右は通行不能で左は轍が心もとない。直進の道は男性の言うとおり草刈りがしてあるから、ここを行ってみることにした。

 

 草におおわれた林道

 

 直進方向の林道も走りやすいダートだった。草が刈ってあると工事の男性が言ったのは道路脇の雑草のことで、路面には草が生えている。しかし2キロゆくと路肩の草刈りもしていなくなり、路上も一気に草が深くなった。ヒグマの気配はないが草ボーボーの道をゆくのは怖い。路面は良好だが、気味が悪いので引き返すことにした。この道は東にある道道88号線に接続する林道だろうか。

 工事の人がいる三股を通りすぎて入口近くの二股にもどり、轍のはっきりしていない道を行ってみることにした。放棄された農地のような土地をすすんで林に入ると、林道は180℃まがって山にのぼってゆく。ここに鹿追林道と名称看板があるが、TMには道の存在も記されていなかった。

 山をのぼってゆく。路面は泥を入れたばかりだから手入れがしてあるが、脇の草は刈っていない。轍はついていたがやがてそれも薄くなり、石がゴロゴロして道も荒れてきたのでUターンすることにした。二股から3キロほどの地点だった。

 この地域の林道はこれ以上走れないと判断し、国道39号線から道道88号線とつないで置戸湖を経由し、芽登温泉にゆくことにした。しかし道道88号線も道路陥没のため通行止めとなつている。この道道や日勝峠がまだ不通だから、林道の復旧工事がすすんでいないのはしかたのないことだと思う。利用度の高い道路の工事が優先されるのだから。

 道道88号線の東にある道道247号線で置戸湖にゆくことにしたが、その手前にGSと道の駅があった。給油をして休むことにする。23、8K/L。131円。

 道の駅おんねゆ温泉で休憩した。売店や食堂がたくさんあるので何か食べようと思うが高い。北海道のソウルフードの芋だんごが300円、牛乳が1本250円もする。こんな値段では買いなくない。ここには山の水族館がありイトウもいるが、入場料が680円なので入らない。木工品の土産物を見ただけで道の駅をでた。

 暑くなった。セーターを脱ごうかと思ったが、これから山に入るし気温も下がってゆくからやめておく。持参の水を飲んで出発する。水は2リットルの格安ミネラル・ウォーターを買い、500mlのペットボトルに小分けして携行しているのである。

 道道247号線からから道道211号線、道道1050号線、道道88号線とつないで置戸湖にむかう。置戸湖には寄らずに芽登温泉にゆこうかと思ったが、置戸湖の南岸に林道があるので道道をそれていってみた。

 

 置戸湖

 

 置戸湖にはだれもいなかった。ダムをながめた後で林道にゆくと、ここも通行止めだ。今日は何度通行止めの案内を見ただろうか。数えきれないほどだ。

 置戸湖の北岸の舗装路をゆくと平の沢林道にアクセスすることができる。しかしそこまでいってまた通行不能ではショックが大きいから、今来た道をもどり、道道88号線に復帰することにした。

 今日の最後の目的地の芽登温泉にむかう。芽登まで48キロとでていて意外と距離があって焦る。夕方になるとヒグマに会う確率が高くなるからだ。気温が下がってきて手が冷たくなってきた。これは昨日の夕刻も同じだった。

 芽登の町の20キロ手前に芽登温泉の入口はあった。思いがけないことで20キロ得した気分だ。林道の入口には旭丘喜登牛線と表示されているが、糠南林道の看板もある。町と林野庁で道の名称がちがうようだ。因みに林道ツーリングガイドでは芽登糠南林道12、3キロとあり、TMは芽登糠南林道と芽登川林道にわけて表記している。

 

 芽登温泉

 

 16時30分に林道にはいった。芽登温泉までの3、5キロは幅広のフラット・ダートで走りやすい路面だ。一気に走りぬけて芽登温泉にたちより写真をとった。この温泉に入りたかったが、林道をゆくと上士幌方向にいってしまうので、またの機会となった。芽登温泉は混浴で専用の温泉着をつけて入浴するようだ。人気がありたくさんの車がきていた。

 林道ツーリングガイドを持参していたが、分岐は見ればどちらにゆくのかわかると慢心して細かく見ていなかった。それが失敗の元になるのである。

 芽登温泉の奥にゆくと道は狭くなりふつうの林道になった。すぐに糠南ダムがあり丁字路があらわれる。左にゆく枝林道があり、直進方向に4、5キロすすむと巨岩の滝があると案内がでていた。道の状況から直進がただしいルートだと判断してすすむ。林の中をゆく走りやすいダートだ。林道ツーリングガイドには変化のある林道とあるが、変化のない道をゆく。やがて巨岩の滝の入口についたが、林の中の登山道のようなところを歩いてゆくので立ち寄らない。先にゆくと左に分岐する枝道があったが、工事現場の看板があったので直進した。

 

 林道の行き止まり

 

 道の真ん中に草が生えるようになった。山の奥に入って通行量が減ったのだ。林道は12、5キロなので12、3キロ走行したところでそろそろ出口だと思っていると、通行止めになっている丁字路にでた。直進方向と右折方向の両方がテープで封鎖されている。道をまちがえたのだ。直進方向は南クマネシリ岳登山道入口とあり、糠南支線林道5450mと看板がでている。右折方向は何も表示されていなかった。

 山奥の行き止まりにひとりきりである。しかも夕刻だ。とても心細い。ヒグマも気になりすぐに引き返したくなるが、その気持ちをおさえて林道ツーリングガイドをひらいてみた。すると糠南ダムにあったひとつ目の分岐をまがるようだ。10キロもミスコースをしてまった。取り急ぎ人の気配のまったくないここから走りだして、正しいルートの丁字路にもどることにした。

 雌雄の鹿とキツネ2匹に会って糠南ダム近くの丁字路にもどってきた。もう一度林道ツーリングガイドを確認すると、ここでまちがいないようだ。しかし時刻は17時30分でまもなく日が暮れる。ゆけば日没までに林道をぬけられると思う。しかしまた道をまちがえるかもしれない。昼にヒグマ情報センターで、早朝、夕刻、濃霧はクマの時間と肝に銘じてきたばかりなのだ。すでに山をおりる時間をすぎているので、ここで撤退することにした。

 芽登温泉を通りすぎて道道88号線にもどった。国道を経由して上士幌の町にはいりホクレンで給油をする。23、6K/L。129円。日が暮れかかっているが、まだ明るいのでGSでメモの整理をした。暗いキャンプ場で手帳をつけるよりも効率がよいからだ。セルフの店なので立ったままでペンをはしらせた。

 士幌の町にゆくとセイコマがあるが、ゴミ箱がないから利用しない。昨日のゴミをどこかで捨てようと思って持参しているのだ。ゴミを受け入れない店は元々使わないと決めている。セブンイレブンにもゴミ箱がないから入らなかった。昨晩買物をしたAコープにゆくと食品トレーの返却箱があったのでトレーをかえす。冷えているので鍋料理がほしいと思ったがない。そこで焼き鳥と鳥もつ串、サーモンの刺身にポテサラ、サッポロクラシックを買った。ビールは昨夕の教訓をいかして350mlにしておいた。

 遅くなってしまったので焦る。もっと早い時間にキャンプ場にもどってゆったりとすごしたいと思っているのだが毎度こうなってしまう。18キロはなれたヌプカにむかう。気がせくが飛ばすとあぶないので60キロにおさえて走行した。明かりはないのでライトをハイビームにして山をのぼってゆく。野営場には誰かいるだろうか。ひとりは嫌だからキャンパーが来ていてほしいと思った。

 

 晩酌のツマミ

 

 19時すぎにヌプカにつくと車が1台きていてテントがひとつたっていた。車は地元ナンバーのセダンで男性ふたりがキャンプをしている。私ひとりだけでなくてよかった。ハイエースのフロアにはいってテーブルに料理をならべ、ローチェアにすわってビールを飲みだすと気分は落ち着いた。

 パーソナル電源にアイポッドをつないで音楽をながすとよい感じだ。ヌプカは山の上なのでラジオの入りが悪いのだ。酒を飲みながら思い出したことがあるとメモをつけてゆく。ビールから焼酎に切り替えて飲んでいると、ドーン!と花火のような音がしている。断続的にひびいているから花火ではない。なんだろうと思って車の外にでてみると、自衛隊の夜間訓練の音だった。大砲のようなものを撃っているのだ。シュバァ!という発射音もきこえる。つづいて、ズズズーン、という着弾音もひびいてきた。夜間の演習も必要だと納得して車の中にもどった。

 テントにいるのは60くらいと30くらいの男性で親子のようだ。静かなふたりだった。自衛隊の砲撃は何時までやるのだろうかと思っていたが、21時前に眠ってしまった。

                                  バイクの走行距離373、2キロ ダート59キロ

 

 

 

 

 

 

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