2014 福島ツーリング 4 2日目の1

 

 柳津森林公園キャンプ場の朝

 3時半に寒くて眼が覚めた。Tシャツの上にシュラフをかけて寝ていたのだが、気温が下がってきたのだ。ライディング・ジャケットを着て寝袋をかぶるとちょうどよくなった。雨は降りつづけている。朝にはあがるだろうと考えてまた眠り、5時におきると雨降りはやんでいなかった。

 曇り時々雨の予報は外れだ。時々ではなくずっと雨である。それでも待てば天候は回復するかもしれないと思い、朝食のインスタント・ラーメンをつくって食べるが、降雨はやまない。これ以上ようすを見ても天気は回復しそうにないので、撤収を開始することにした。

 3人組のライダーたちもおきていた。彼らは連泊するのか、それともゆっくり出るつもりなのかのんびりとしている。炭をおこして朝食の用意をしているから、出発するとしてもかなり後になるはずだった。

キャンプ場の管理事務所の軒先で荷物をまとめる

 幸いなことに管理事務所に軒先があったのでそこで荷物をまとめ、テントの水分もふきとることができた。最後にバイクも引き込んで荷を積んだが、雨をよけられたのはとても助かった。

 

 7時に出発した。会津坂下から会津若松と昨日やってきたルートをもどってゆく。弱い雨の中を走るが降雨はやむ気配がない。雨模様なので気分がしずみ、このまま帰ってしまおうかと考えた。しかしせっかくここまで来ているので、予定通り福島市にゆくことにした。

 雨は強くなったり弱くなったりをくりかえす。装備は万全なのでどこも濡れてはこないが、雨降りの中をバイクでゆくのは辛い。修行のようにじっと耐えるのみである。雨のそぼ降る猪苗代湖畔をすすんでゆく。相変わらず湖の水はきれいだ。気温は19℃。野口英世記念館を通過するが、悪天候の早い時間だから人気がない。記念館の前で写真をとるが、昨日最後にたずねた会津三観音のひとつの中田観音は、英世の母が息子の火傷の回復や、立身出世を願ったことで有名なことを思い出したりした。

 

 雨の猪苗代湖畔

 国道115号線に入り北に針路を転じて、山岳地帯にむかってゆく。気温は17℃、16℃と下がっていった。雨降りの寒々とした山岳路の写真をとりたいと思うが、止まるのが億劫で走り続けてしまう。もっと気持ちに余裕をもってゆったりと進むべきなのだが、雨粒に打たれて修行をしている私には、そのゆとりがなかった。

 以前に北海道ツーリング仲間と野営宴会をした、あだだら高原キャンプ場と岳温泉への分岐があらわれた。岳温泉は昭和の雰囲気ののこる、熱くてよい温泉だった。そして温泉街でたべたソースカツ丼が美味しかったっけ。ボリューム満点で丼のふたがしまらないほどだった。ふつうの卵とじのカツ丼のことを、福島の友人が『煮込み』と呼んでいたことも思い出す。あのソースカツ丼をまた味わいたいと思うが、今回は時間があわない。ソースカツ丼には福島市でも会えるだろうと考えて、北にむかうのだった。

 山道をすすむと霧もでてきた。視界も悪くなり、雨と寒さと霧の三重苦だ。やがて土湯トンネルについて、ぬけると福島市に入った。山深いところが福島市であることにおどろくが、土湯トンネルから福島市街まで20キロほどであり、福島市は広いのだなと思った。

 山をおりて市街にはいり、福島駅前を通過する。福島県立美術館が目的地のひとつだ。美術館は駅の北にあると知っていたから、方向を見定めて適当にすすむ。すると案内板があらわれて、迷うことなく県立美術館に到着したから、福島との相性はいいようだった。