2016年トランポでゆく北海道ツーリング4日目

 

 オトンルイの風車群

 

3 美深をでる 

 暑くなってきた。こうなると革ジャンでなくてよかったと思う。利尻富士が見えなくなると、遥か前方に巨大な建造物が蜃気楼のように見えてきた。オトンルイの風車群だ。15キロ手前から姿は見えだして徐々に近づいてゆく。それを写真にとらえるために1キロ手前で停止し、風車の真下にあるパーキングにも入って撮影した。空はすっかり晴れている。ここでセーターを脱いだ。晴れたのでまた函岳にゆこうかと考える。それとも別のことをするか。それは美深につくまでに決めることにした。

 手塩から美深にゆくのは道道551号線、道道855号線とつないで国道40号線にでるのが合理的だが、手塩を通過した南の道道119号線を利用した。道道118号線の小車峠をこえて美深に入ろうと考えたからだ。このルートは以前走ったことのある、現在は途中で通行止めになっている物満内林道の南の出口である。しかしここも通行止めとTMにあるので、断念して国道40号線で東にすすんだ。

 物満内川があらわれて物満内林道が気になるが、どうせダートを走るなら函岳にゆきたいから立ち寄らなかった。音威子府の道の駅で休憩する。駐車場にはキャビンに障子の入っている珍しい作りの軽キャンカーがいて、中ではリタイヤしたらしき男性が肩肘をついて横になっていた。

 函岳にもう一度ゆくのか、それとも今夜からの雨にそなえて移動し、旭川で飲むのか迷う。答えをだせずに美深に近づくと、函岳方向の山に雲がかかっているので、旭川にゆくことに決めた。風景は今日も見えないかもしれないし、函岳というご馳走も2日つづけると飽きてくる。夜の街で一杯やるのも旅のアクセントになると考えたからだ。

 15時15分にびふかアイランドのキャンプ場にもどってきた。ハイエースのとめてある場所にゆくと、山梨ナンバーのキャンパーが、私の車にぴったりよせてベンチとテーブルを設置してしまっている。私の車が出られないのにもかかわらずだ。キャンプ・スペースを決めるときに、まわりの車が動けるのかたしかめるのは最低限のマナーだと思うが、60過ぎの夫婦はそんなこともわからないのだ。

 山梨キャンパー氏は能天気に挨拶をしてくる。私が車が動かせないではないかと言うと、はじめてそれに気づいていた。うっかりもほどほどにしてほしい。初心者なのかそれとも視野が狭いのか。なんとか切り替えしてハイエースを動かしたが、山梨氏はカッコがつかなくて車の中に引っ込んでしまった。

 

 山梨キャンパー氏の車 左は長期滞在者のテント

 

 車を通路に移動してバイクを積む準備をする。ここは車もバイクも洗車は禁止だが、昨日と今日林道を走ってよごれたバイクの泥を、バケツ1杯の水でながさせてもらった。これだけでずいぶんとちがうのだ。サイトに昼間いるキャンパーは閑な人が多い。バイクをハイエースに積もうとしていると、何をしているのかなという目でこちらを見ている人たちがいた。

 出発の準備をしていると長期滞在者たちがおしゃべりをしているのが聞こえてきた。今夜から強い雨が予想されているが、前の大雨で初心者のキャンパーが困ったり、苦労したりしていたのを笑っているのだ。キャンプ場には低いところがあり、そこにテントを張れば水浸しになるのはわかっているのだが、そうなるのを見て喜んでいるような会話である。誠に意地がわるく、情けない内容だ。となりの車が出られるのか考えないうっかり者よりも、よほど性質がよろしくなかった。

 16時に準備はおわり車を美深温泉にうつした。温泉に入ってから旭川に移動しようと考えていると、キャンプ場の管理人さんがちょうど歩いてきた。そこでチェック・アウトを申し出ると無料でよいとのこと。チェック・アウトの15時をすぎているがと言うと、1時間オーバーしたくらいでお金はもらえないとの答え。たぶんそうだろうなと思っていたが、とても気持ちのよい対応をしていただいた。お顔もニコニコされていて人柄がにじみ、心があたたかくなる。またここに来ようと思った。

 美深温泉にゆく。料金は400円だ。前回利用したのは何年も前なのでどんな風呂なのか忘れていた。内風呂にジェット・バス、サウナはあるが露天風呂はない。露天風呂がないのは大きなマイナスだ。風呂は天塩川温泉のほうがよかった。キャンプ場は断然美深だが。

 風呂上りに休憩室でメモをつける。窓から道北らしい涼しい風がはいり、火照った体に心地よかった。スマホ・ナビで旭川までのルートを検索すると、高速ルートは1380円、おすすめルートは国道利用の0円なので、おすすめにすることにした。

 

 函岳の案内看板

 

 17時10分に森林公園びふかアイランドを出発したが、まず函岳入口にたつ看板の写真をとりにゆく。国道の上下線で別の案内がでているので、両方をカメラにおさめる。絶景、360度、パノラマ、34キロと表示されていた。

 

 函岳方向を見る

 

 美深北ICから名寄美深道路にはいって南下する。名寄ICで自動車道路は尽きるので国道40号線に入ると、カメラを売っているところを教えてくれたベストホームの横にでた。感謝の意味をこめてミネラル・ウォーター2リットルのボトルを3本購入した。

 フラッグあります、と看板がでていたのでホクレン風連GSに入った。10,34K/L。単価は123円と高い。レッドフラッグを150円で手に入れた。旗を入手すると嬉しい。わくわくした。

 国道40号線を南下してゆく。士別の町は混んでいて車がなかなか進まない。国道ではなく高速にのりかえようかと考えたが、士別をぬけるとスムーズにながれだした。70キロから80キロのペースで走りつづける。信号がないから止まることなく、高速道路を走行しているかのようだ。天気は明日悪化するとラジオがつたえている。全道的にはげしい雨になるそうだ。

 明日は移動日にしようと思う。旅の目的地はあとふたつだ。新得町や十勝岳周辺の林道と、開陽台近辺のダートと花咲ガニである。明日は花咲までいってカニをたべ、別海に泊まろうと思う。雨天の日を移動日につかえば、有効に日程を組めるなと考えたのだ。しかし17時からの移動は車にしかできない。それにハイエースはバイクも積めて車中泊も楽にできるから、もうこの車にしか乗れないなと思った。

 

 

 

 

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