2017北海道トランポ林道ツーリング6日目

 

 道の駅・摩周温泉の第二駐車場

 

孤独のグルメの久住さんに会った! 

 5時55分に起きた。天候は晴れ。気温は15℃くらいで寒くはない。セイコマのカップ・カレーうどんと昨夜たべられなかったサンドイッチの朝食をとる。荷物の整理をして6時45分に出発した。まず昨夜ビールを買ったセイコマにゆき、ゴミを捨てさせてもらってカップめんを買った。

 移転した大阪屋食堂のあった路地を見ながら足寄の町をでた。国道241号線で阿寒湖にむかう。60キロほどの道のりだ。山道を快調に走り、幽霊話の舞台となったパーキングも知らないうちに通過していた。

 阿寒湖を通りすぎて弟子屈にむかう。屈斜路湖周辺をベース・キャンプにするつもりだが、候補地は3ヵ所あった。ひとつ目は和琴半島の入口にある無料駐車場だ。ここで車中泊をしている人たちを何度も見ていたし、無料の露天風呂があるのが魅力だ。しかしここは買物が不便である。そこがネックでふたつ目は弟子屈にある道の駅・摩周温泉のとなりにある、水郷公園の駐車場を考えていた。ここは道の駅よりも静かですごしやすいと聞き込んだのだ。三つ目は道の駅・摩周温泉である。ふたつ目と三つ目はスーパーやコンビニ、GSに近くとても便利だ。いずれにするかは現地を見て決めることにしていた。

 ラジオでは釧路・根室の天候は下り坂だと言っている。これから根室方面の林道を走るつもりなので天気の行方が気になった。弟子屈にむかっていたが美幌峠から和琴半島にすすんでいると勘違いをしていた。昨年そのルートを通ったからだが、国道241号線をゆけば弟子屈にでる。うかつにも弟子屈の町に入る直前までそのことに気づかなかった。

 弟子屈に入るとまず水郷公園があったのでここに行ってみた。公園の駐車場が絶好の車中泊ポイントとのことだが、空いていてキャンピングカーなどはいない。車をとめてトイレを見にゆくと、ここは公園でキャンプ場ではない、車中泊も禁止、という貼り紙がたくさんある。車中泊スポットとして有名になり、人や車が集まって放置できないほどの状況になって、禁止されてしまったのだろう。ここには泊まれないので川をはさんで隣りにある道の駅・摩周温泉に移動した。

 道の駅にはたくさんの車がとまっていてにぎわっていた。車中泊をしているようなワンボックスカーもいるが観光客の乗用車がほとんどだ。ここではバイクをおろせそうもないと思っていると、道路をはさんだむかいに第二駐車場があり、そちらは空いている。キャンピングカーなどが4・5台いるだけなので長時間ハイエースをとめておいても問題はなさそうだ。今日はここをベースにしてバイクで走りだすことにした。

 駐車場のいちばん奥から2番めのスペースにハイエースをとめた。いちばん奥にはバイクをおいて、車でかくして道の駅から見えないようにするためだ。注意などされないと思うが、DRを車から出し入れするのに神経をつかった。

 バイクで3日間走行したのでオイルを点検すると、ローレベルになっているので補充する。DRはエンジンのオーバー・ホールしてからピストンとシリンダーのクリアランスが大きくなり、オイル上がりをおこすようになった。エンジン・オイルが燃焼室まで上がってガスといっしょに燃えてしまうのだ。それでエンジン・オイルが減ることになり、定期的な補給が欠かせないのである。

 キック2回でDRは始動した。調子はよいのだがオイルを入れすぎたためかマフラーから大量の白煙を吐き出す。それをチョークをもどしてなだめておいた。9時10分に出発する。むかうのは屈斜路湖畔林道だが、その前に和琴半島の入口にある、車中泊候補地の無料駐車場を見てゆくつもりだった。

 

 和琴半島の駐車場 XR650氏

 

 和琴の無料駐車場につくとハイエースからオフロード・バイクをおろしている人がいた。私と同じことをしている人に会ったのははじめてだ。さっそく話をしにいってみた。その方は関西ナンバーの40くらいの人だった。バイクを2台積んでいて、ホンダXR650の改造車とモトクロッサーだ。林道とモトクロス・コースの両方を楽しみに来たとのこと。モトクロス・コースは浦幌と中札内にあるそうだ。

 私もハイエースにDRを積載してきていて、車は道の駅・摩周温泉においてきたと話すと、トランポをとめる場所に気をつかう話題となる。XR氏は昨夜和琴についたそうだが、ここにはキャンプ禁止の貼り紙がたくさんあるので、国設の和琴キャンプ場に泊まろうとしたそうだ。しかし入口にチェーンが張ってあって入れず、美幌峠の道の駅、ぐるっとパノラマ美幌峠までもどって車中泊をしたと語っていた。

 XR氏も以前はバイクで自走して北海道にきていたそうだ。しかし昨年永年勤続の休暇をもらってトランポ・ツーリングをしてみると、自走はもうムリだなと私と同じ結論に達したとのこと。XR氏のハイエースは私と同じスーパーGLだが、ワイドボディなので幅も高さもひとまわり大きい。バイクを2台のせてもセカンド・シートをたたまなくて済むようで、そこをベット・スペースにしているようだ。

 XRは元が何なのかわからないくらい改造されている。カラーとスタイルからホンダのバイク? XRかな、と思うが、外見はモトクロッサーのようで、650のデカールもない。XR氏はこれから私もゆくつもりの屈斜路湖畔林道にむかうと言う。その後は浦幌のコースにまわるそうだが、私が虹別林道なども走ると話すと、そっちにも行こうかなと語っていた。ただXRは本気で走るとリッター10キロいかないそうで、ガスがもたないとつづけているから、林道をどれだけ飛ばすつもりなのかと思う。モトクロッサーでコースも走行するくらいだから、相当の走り屋なのだろう。

 写真をとらせてもらってXR氏と別れる。和琴半島のつけ根にある無料の露天風呂を見にゆくことにした。無料駐車場を歩いてゆくが、たしかにここにはキャンプ禁止の看板がある。それでも車中泊をしている車は何台もいた。その中の地元ナンバーの方にここは車中泊をしてもよいのか聞いてみた。すると、何も言われないよ、とのこと。ここは風呂がタダだからいいよ、とのことだった。テントを張ったり、テーブルやイスをならべたりしなければ車中泊は黙認のようだ。

 駐車場から屈斜路湖に歩いてゆく。ここには何度も来ているが、湖と背景の山がきれいで、よいところだとあらためておもう。ほんとうはここにある民間の和琴湖畔キャンプ場に泊まるのがベストなのだが、車は湖の近くにとめられないのでそうしなかった。湖畔ですごせないならここを宿泊地にする意味がないからである。

 和琴半島のつけ根にある露天風呂にゆくと、さすがにこの時間に入浴している人はいない。観光客が足湯としてつかっている。私も湯に手をつけただけで駐車場にもどった。ちょうどXR氏が出発するところで、モトクロス・ジャージにモトクロス・パンツで決めたXR氏はレーシーな排気音をひびかせて手を上げて走りだす。私も彼に手をふった。

 美幌峠方向に走りだす。途中にある津別峠は、大規模な地すべりがおきていてそれが見えるとXR氏が言っていたがその通りだ。復旧は大工事になりそうだった。

 

屈斜路湖畔林道

 

 屈斜路湖畔林道の入口に到着した。湖をぐるりとまわる21、5キロのダート走行のはじまりだ。この林道は走りやすい路面なのだが今年は例年よりも荒れていた。穴が多くあり、ウォッシュボードのように地面がデコボコになっているところや、こぶし大の石もたくさんある。それらを避けていった。

 林道にはいるとすぐに養蜂家のトラック2台とすれちがった。林道は森の中をぬけてゆくがやがて湖沿いにでる。屈斜路湖を右に見ながら走ると心が高揚する。景色とルートのすばらしさったらない。心を高鳴らせて快走した。

 道は湖からはなれてまた森の中をゆく。低速で這うようにすすむワンボックスカーキャンピングカーがいて、2台をぬいてゆくと林道の出口にでた。

 次は林道ツーリングガイドに紹介されている江鳶奥林道(えとんびおくりんどう)にむかう。清里町の手前から林道にアクセスできるのだが、昼食をとりたいので清里町にむかった。道道805号線、道道1115号線とつないで清里町の中心につくとホクレンがあったので給油をする。23、6K/L。129円。ここでブルー・フラッグを手に入れた。

 GSでおすすめの食堂をたずねてみると緑清荘とのこと。それにふじ食堂もと。そこでまず名前のでた緑清荘にいってみると公営の温泉ホテルのような施設だ。ここにレストランがあって和洋中のメニューがあるらしい。しかし公共施設に入る気にはなれないのでふじ食堂にいってみると、こちらは旅館を兼業した個人店だ。利用するなら個人の店にしたいと思っているのでふじ食堂に決めた。

 

 ふじ食堂の味噌野菜ラーメン

 

 店にはいって女将さんにおすすめを聞くと、生姜焼き定食、カツカレー、味噌野菜ラーメンだけど、なんでも美味しいですよ、とのこと。そこで味噌野菜ラーメン800円の大盛り120円の合計920円をおねがいした。

 割と時間がかかって味噌野菜ラーメンはやってきた。外見は素朴で田舎のラーメンという感じだ。食べてみてもおなじ印象だった。ふじ食堂は純朴な料理と親身な接客はよいのだが喫煙可なのが大きなマイナス。隣りでタバコをすわれて嫌になってしまった。☆5点満点平均3点で2、8点。料金を払うときに女将さんに天気予報は釧路・根室地方を見ればよいのかたずねると、網走と釧路の中間なので両方をチェックするのがよいと教えてくれた。

 清里町から道道857号線で南下すると江鳶奥林道にいたるが、その手前はTMに『海まで延びるように見える直線路』とある。林道の直前でバイクをとめてみると、たしかに真っ直ぐな道がオホーツク海までつづいているように見えた。

 江鳶奥林道の入口の鹿避けゲートに到着した。ここは今回が初走行だ。未知の林道を走るのは緊張感がともなう。どんな路面なのかわからないしヒグマのことも気になるからである。

 江鳶奥林道は斜里川林道に接続して神の子池近くの道道にでる。ゲートには、路肩が一部崩壊しているため通りぬけできない、とある。しかしバイクなら通行できるだろうと考えて林道に入っていった。

 林道には粒の大きなジャリがいれてある。深ジャリ、大きなジャリのある路面はハンドルをとられて走りづらい。深い林の中の道を峠にむかって上ってゆくとホンダCRF250のライダーがやってきた。おもわず互いにとまって話をする。入口に通りぬけできませんとあったが通行に問題はないそうだ。ただ橋の上だけ荒れていると聞いたが、そこがどこなのかわからなかった。CRF氏は斜里川林道の終点まで走ってきたそうだ。

 CRF氏は50くらいの人だった。平日の林道で同好の氏に会えるとは思っていなかったのでとても嬉しい。CRF氏に出会って初走行の林道の緊張感もやわらいだ。江鳶奥林道は斜里川林道の真ん中あたりに接続する。そこから斜里川林道終点の男鹿の滝入口まではピストン走行になるので、パスしようと思っていた。しかしCRF氏が走ってきたと言うので私も行こうかという気になってきた。

 

 江鳶奥林道の峠

 

 入口から5キロほどで峠についた。TMには、オホーツク海が見える、とあるが霞んでいて眺望はきかない。風がとても強く、ザァッ!、と音をたてて熊笹がゆれるので早々に走りだした。

 峠を下ってゆくと地面が裂けたように亀裂が入ったところがあった。ジャリをいれて補修してあるが、車の通行は困難だから、通りぬけできないと表示されているのだろう。バイクは問題なく通過することができた。

 粒の大きなジャリやもっと大きな石をよけて走るのでペースは上がらない。林道ツーリングガイドには道をふさぐ倒木がでていたが、それは片づけられていた。

 13、5キロの江鳶奥林道を走りぬき斜里川林道との合流点についた。ここから斜里川林道終点の男鹿の滝入口まで8、5キロあり、そこは行き止まりなのでピストン走行になる。行くのか迷ったが、今ゆかねば後悔すると思って、往復することにした。

 斜里川林道は頭上のひらけた明るい林道だ。ストレート主体なのでよいペースで走れる。たまに深ジャリや道路脇の草が刈っていないところがあるが、江鳶奥林道よりも断然走りやすかった。

 やがて深い森の中に入り暗い道となった。急坂もあらわれる。横を斜里川が流れており、川に沿って上ってゆくとコンクリート製のダムがあった。山奥の小さな沢にダムなど必要だろうかと感じてしまった。

 斜里川林道の終点についた。男鹿の滝まで400メートル、熊注意、と看板がでている。滝まで歩いて5分とのことだがもちろんゆかない。バイクに乗っていればヒグマはでないと思っているが、徒歩では不安だ。それに熊注意という文字を見ると急に気になってしまう。字は恐怖を触発するのだ。早々に来た道をもどることにした。

 林道を下ってゆくと急坂に自分がつけたタイヤの跡がのこっている。それを見ながらアクセルをあけた。少し走ると気分が落ち着いたので、バイクをとめて写真をとりながら走行した。

 江鳶奥林道との分岐点を通過して14時すぎに斜里川林道の出口についた。江鳶奥林道と斜里川林道を走りつなぐ33、6キロのダート走行は終わった。江鳶奥林道はジャリが多く荒れた印象だった。ただ補修の手がはいり道路脇の草は刈ってあった。一方の斜里川林道は路面はよいが脇の草は刈っていなかった。

 つづいて虹別林道にゆくことにする。山を下って道道1115号線にはいり南下する。すぐに神の子池があり、ここは2キロのダートがあるが立ち寄らない。裏摩周展望台もあるがこちらにもゆかなかった。

 

 虹別林道の入口 道道1115号線沿い

 

 清里峠をこえてゆくと、虹別林道が道道をまたいで左右に走っているので、通りすぎないようにゆっくりとすすむ。やがて林道の入口についた。今年からだと思うが、林道に救急用の番号がついていて、その看板がたっている。何かあった場合にどこなのかすぐに特定できるからよいアイデアだと思う。そのナンバーが林道ツーリングガイドの写真と同じで、ここが虹別林道と確認できた。

 ストレート主体の頭上のひらけた走りやすいダートをゆく。虹別林道は上り下りの起伏がある。ジャリは少なく路面はよかったが、6、7キロ地点で木の伐採をしていてトラックの出入りがあるため、この先は道路がウォッシュ・ボード状にデコボコになり、ジャリも入って走りにくくなった。

 虹別林道の出口についた。近くにある無料の露天風呂のからまつの湯にゆく。数年ぶりだが道を覚えていてスムーズに到着することができた。15時だったがからまつの湯には誰もいない。私の貸し切りだ。今日はほんとうによい日だなと思って温船にはいる。温泉はビリビリするほど熱い。しかしつかっているとなじんできてのんびりと体をのばすことができた。

 車が2台やってきた。何人かのグループが話し合っているのが聞こえる。裸だから女がいると嫌だなと思っていると、男ばかりの4・5人のようだ。そのひとりが顔をだして、こんにちは、と挨拶してくる。こんにちは、とことばを返す。別の人がやってきて、こんにちは、と言うからまた答えた。そして3人目の人が、こんにちは、と言いに来ると、この方はテレビ・ドラマの孤独のグルメの原作者の久住昌之さんで、それが一目でわかったから、いつもテレビを見てます、孤独のグルメ!、と答えた。

 久住さんは35年間漫画でコンビを組まれている泉晴紀さんと取材でこられたそうだ。生玉子をからまつの湯の源泉でゆで玉子にして食べるという企画らしかった。

 久住さんはとても気さくな方だった。こんなところで久住さんにお会いできるとは思いませんでした、と言うと、すぐにわかっちゃいましたね、とおっしゃる。するとスタッフの男性が、都内ならいざしらず、ここで会うとは思いませんよね、とつづけたので、旅のよい思い出になります、と答えたのだった。

 久住さんと泉さんがからまつの湯に入ったところをカメラマンが撮影していると、地元ナンバーの人が風呂にやってきたが、その中年男性は久住さんを知らないのだった。北海道では孤独のグルメを放送していないのかもしれない。久住さんはその人に、よく来るんですか?、と聞いている。男性は、3回目です、と答えていた。その地元の方は駐車場の車の中で服をすべてぬいで、裸でサンダルをつっかけ、マイ桶で前をかくして露天風呂まであるいてきた。こんなワイルドな入浴を見たのははじめてだった。

 スタッフの方が、バイクの旅行はホテルに泊まっているのですか、と聞く。そこで、ハイエースにこのバイクを積んできていて、その車の中で車中泊をしている、と言うと、そんなことをする人がいるんだ、という顔をされていた。そしてふだんはお堅いサラリーマンだと言うと更におどろいていた。

 

久住さんと記念撮影

 

 風呂からあがった久住さんと写真をとってもらう。いい湯ですね、と久住さんはおっしゃる。まったくです、と答え、これからもドラマを楽しみにしています、と言ってお別れした。

 からまつの湯につかっただけでも嬉しいのに、毎回見ている孤独のグルメの久住さんに会えて大満足である。心が浮き立つのを感じて開陽台にむかう。距離は18キロだが、からまつの湯でババシャツを脱いだので寒くなってきた。

 開陽台の風景は霞んでいた。昨年は国後島まで見通せたが今年は知床連山も見えない。雲がたれこめていて眺望をさえぎっている。気温は低く涼しい開陽台だ。去年は羽蟻が大発生していたが、今年はすでに死んでいて、展望台にはたくさんの死骸がのこっていた。

 北十九号線に立ち寄る。川北の湯にもゆきたかったが時間がなくなってしまった。道の駅にもどることにする。道道150号線、道道885号線とつないで国道243号線に入り、弟子屈に帰っていった。

 道の駅においてきた車が気になった。同じ場所に長時間とめたままにしたからだ。しかし第二駐車場についてみるとガラガラに空いたままで、何の問題もなかった。それよりも車からバイクをおろしている人がいる。自動車はエルグランドでオートバイはヤマハTW250だ。さっそく話しかけてみた。ТW氏は東海地方のリタイヤされた方だった。トランポ・ツーリングをしている人にははじめて会ったとおっしゃる。私も今朝はじめてXR氏に会い、そしてТW氏に出会ったと話した。

 エルグランドは7人乗れるタイプでふだん使いによいからトランポにえらんだとのこと。ただハイエースのようにフロアにベルトをかけるフックがないので、車屋さんにバイクを固定するためと用途をつたえて新設してもらったそうだ。フックは上下左右8ヵ所あり、8点止めでТWを固定しているとのこと。

 車中泊をしながら旅行し、天気がよければバイクをおろしてツーリングをする。これがいちばん合理的で自由な旅のスタイルだ、とТW氏はおっしゃる。私もまったく同感だ。ТW氏は峠を走ったり風景写真をとったりするのがお好きなようだ。私は林道ツーリングのことを話した。

 

 ТW氏のバイクとトランポ

 

 ТW氏は時間はあるのでずっと下道を走ってきて、フェリーも大間ー函館間のいちばん短い区間をつかったそうだ。北海道は道東だけに1ヵ月いる予定とのこと。私は9日間の日程と話すと、それは忙しいね、でも現役ならば仕方がないよ、とおっしゃる。私もリタイヤしたら同じことをすると思います、と答えると、それはそうでしょう、とうなずいておられた。ТW氏とははじめてお会いしたとは思えないほど話があった。

 ТW氏と別れて道の駅にゆく。長時間車をとめさせてもらっているからできるだけここで土産を買おうと思い、日本酒や焼酎などを購入した。店の方は私の服装を見て、バイクですから割れないように梱包します、と言って丁寧につつんでくれる。バイクのスタイルだけど車なんだよなと思ったが、そのままやってもらった。買ったものは外から見えるように助手席においておく。道の駅の人が見回りにきたときの備えである。

 バイクで買い出しにでる。弟子屈の町の居酒屋で飲めるかもしれないと考えていたので市街地をゆくも、店はない。地元の温泉にも入りたいと思っていたが場所がわからなかった。

 摩周温泉駅の近くにAコープがあった。花咲ガニがあれば欲しいと思ったがないし、肉や刺身もこれというものが見当たらない。そこで国道沿いのフクハラにむかうが雨がパラパラと降ってきた。

 フクハラにも花咲ガニはなかった。しかしちゃんこ鍋321円があり、寒いからこれを買うことにし、他に半額のホッキの酢味噌和え146円と半値の大福、サッポロクラシックを買った。

 

 今夜の夕食

 

 弱い雨の中をにげるように道の駅にもどった。明日の根室・釧路地方の天気は下り坂のようだ。明日はともかく明後日は雨が確実のようである。ハイエースの中にはいり鍋を火にかけてビールをあけた。冷えているのであたたかいちゃんこ鍋がおいしい。ホッキの酢味噌和えも味はよいが、鍋ばかりをたべた。

 夜になると車中泊の人が増えた。トイレにゆくとそれらしい人たちがたくさんいる。長期間車で旅をしていると、髪の毛や服がヨレヨレになるからすぐわかるのだ。髭が伸び放題だったり、しょっぱいスエットの上下を着た人や、入れ歯をしまうプラスチック・ケースを手にしている老人などが目についた。

 第二駐車場にもどると、大型キャンピングカーのアドリアの明るく広い居間のような車内で、ソファにすわり大画面テレビを見ている老夫婦のようすが見えた。私はハイエースにもどり、パーソナル電源にアイポッドをつないで音楽をながすが、すぐに止まってしまう。壊れてしまったのかと思ったらバッテリー切れだ。今朝、足寄から車で充電しながら走ってきたのだが時間が足りないのだ。使用している大自工業製のパーソナル電源は、家庭のコンセントでフル充電するのに24時間以上かかり、音楽をながせるのは1時間弱である。そして車で数時間充電しただけでは満足につかえないことがわかった。

 バイクの走行距離229、1キロ 車の走行距離93、8キロ ダート66、1キロ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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