プロローグ

　夏をむかえて暑さがつのり、バイクから遠ざかっていた7月某日、あまり放っておいてはいけないと、久々にＤＲを引き出した。むずがるエンジンをかけて乗ってみると、フロント・ブレーキが効かない。
　点検してみると、フロント・フォーク・ブーツからオイルがもれ、ディスク・ブレーキやタイヤ、リムにまで付着しているのが確認できた。
　
　これではブレーキは効きっこない。
　
　数年前からフロント・フォーク・ブーツが劣化でやぶれ、そのままにしてしまっていた。原因はそれではなく、オイルシールの耐用年数のためだろうが、ミニカウルのついたＤＲのフロント・フォークを脱着する気力も、腕も時間もない私は、フォーク・ブーツの交換もろともにプロに修理を依頼した。

　数日後修理のなったＤＲは、新品のフォーク・ブーツも凛々しく、男前があがっていた。90年型の逆輸入車なので、オリジナルのフォーク・ブーツはないかもしれず、その場合は他車の流用になると告げられていたが、スズキの在庫にはこのなんでもない部品がしっかり残されていて、感激させられた。

　メーカーはこうでなくっちゃね。

　メンテナンスをおこたっていた負い目も晴れて、ＤＲにまたがっていると急にツーリングに出かけたくなってきた。しかもロングに。

　ＤＲに乗りだして6年になるが、ロングツーリングに出かけたことはない。一泊の温泉ツーリングに数回行ったたくらいで、以前に遠出したときはＤＲではなく、シルクロードだった。

　計画を胸であたため、家庭と仕事を調整し、ついに出発することが可能になった。

　しかし、雷にたたられたツーリングとなった。

８／２０　　山寺、月山へ
８／２１　　深夜に落雷でパニック。湯殿山、羽黒山神社へ。月山登山はまた雷。酒田へ
８／２２　　笹川流れから、新潟県村上のイヨボヤ会館へ
　

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