2010 白樺湖キャンプツーリング 2日目

 

 トンボ玉のお店と犬 犬の名前は店長

 

 7時に起床した。少し酒が残っているが、気分が悪いわけではなく、まだ気持ちよく酔っている感じである。皆さんはほとんど起きていて元気に活動を開始している。私もいつものキャンプの朝食、インスタントラーメンを食べて、8時20分には林道ツーリングに出発した。

 白樺湖をぬけて高原を下ってゆく。カーブを次々に走り抜けるが、まだ酔っていてバランス感覚がおぼつかない。しかし体に染み付いたバイク操作はオートマティックに発揮されて、やがて酒も完全にぬけた。

 今日も良い天気だ。眼にしみるような青色の空にまばゆい白い雲がわいている。昨日関東地方は梅雨明けだったそうで、いよいよ夏が来たのだ。気温は19℃と表示されていた。


 

 金沢林道

 

 茅野に下ると暑くなってきた。昨日入口を見ておいた金沢林道にゆく。林道の入口にはオフロードバイクが2台と、小さなオンロード・バイクが1台いた。金沢林道は入口から5キロは舗装されていた。その先にダートが残っていて、砂利を入れたばかりのようで若干走りづらい。それでも昨日の川上牧丘林道に比べればなんということもなく、出口の十字路に到着した。

 

 金沢林道出口 ヤマハ氏と談笑

 

 金沢林道の出口で、入口で一緒だったオンロード氏と話をした。バイクはヤマハの125でとても珍しい。中国ヤマハ製なのだそうだ。ヤマハ氏はキャンプをしながら林道ツーリングと温泉を楽しみにきたそうだから、私とやっていることは同じだ。ヤマハ氏は昔はオフロードバイクにも乗っていたそうだが、取りまわしとランニングコストを考えてこの125にしたとのこと。林道もゆっくり走るならオフはいらない、と話す氏の言葉にうなずく私だった。ヤマハ氏は私よりも少し年上の方だった。

 町道高嶺線にゆくというヤマハ氏と分かれて、大河内林道にむかう。芝平峠にダートを下ってゆくが、入笠山に向かわねばならないのを間違えて、美和湖方向にいってしまった。仕方がないので後から走るつもりだった町道高嶺線を先に走破することにした。

 

 

 町道高嶺線の荒れた路面

 

 小豆坂トンネルの横に町道高嶺線の入口はある。スタートは舗装の急坂でトンネルの上に急登してゆく。やがてダートになるが今年はひどく荒れていた。雨が路面を削りとったクレパスが2本、3本と走っていて進むのはやめようかと思ったほどだ。それでもそろそろと進入するも、路面は更に荒れてラインがみつからない。よほどこの林道は断念しようかと思ったが、ローギヤでクレパスを乗り越えて進むと路面は落ち着いてきたので、行けるところまでいくことにした。

 この林道は元々泥の道だった。それが路面保護のためか砕石が入れてある。その石の敷いてある急坂のダートを上ってゆくが、ぬかるんでいるところも多々あった。ここは元々路面がいつもぬかっている林道で、過去には転倒したこともあるところなのだ(興味のある方は『2007奥飛騨ツーリング・2日目』をどうぞ)。また転ぶのはごめんなので、ヌタヌタの長いところはバタ足走法で切り抜けていった。

 

 町道高嶺線の視界がひろがるポイント

 

 やがて視界の広がるビュー・ポイントに出た。バイクをとめて写真を撮っていると10台くらいのグループがやってくる。彼らのリーダーがこの先に長いヌタヌタがあるから注意を、と教えてくれる。たまたま一緒になったBMWのビックオフは引き返したそうだ。私も下っていくとクレパスがひどいところがあると伝えたが、彼らは走りなれていてよくわかっているようだった。

 

 

 とんでもないヌタヌタ ヤマハ氏がバイクを押している

 

 ヌタヌタは断続的にあらわれる。しかしそんなにひどくはない。大したことないじゃないかと思っていると、とんでもないヌタヌタが待っていた。ヌタヌタの道一面に車がタイヤ痕をつけてしまったマディーな路面が、3・40メートルも続いているのである。これをはじめに見たときはどうしようかと思ってしまった。引き返すかと悩みもした。しかしここもバタ足で進むと意外になんということもなく通過することができた。ヌタヌタを走りきったところで写真を撮っていると、ヤマハ氏がやってきたのでヌタヌタありと合図を送る。氏は停止してヌタヌタを見ていたが、やおら表情をくずすと、押し、を選択して、嬉々としてバイクを引いて去っていった。

 川上牧丘林道もひどかったが、町道高嶺線はそれより遥かに悪かった。

 

 黒河内林道スタート地点

 続いて黒河内林道にむかう。入傘山の牧場から林道に入ってゆくが、道に迷って30分ロスし、12時30分に林道に進入した。黒河内林道は砂利を入れたばかりのようで、浮き砂利となっていて走りづらかった。それでもクレパスもなければヌタヌタも無いので、ハンドルを多少振られてもなんということもない。坦々と下りの林道を進んでゆくと、ここもラストの4キロが舗装されてしまっていた。舗装は更に伸びてゆくようなのが残念であった。

 林道の出口は南アルプスへのバスが出る戸台口バス停で、ここは登山者に大人気のようだ。そのバス停を過ぎて、国道152号線に出たところで昼食の場所について考えた。伊那まで行けば名物のソースカツ丼とローメンがあるが、13時を過ぎているからよさそうな店があればどこでも入ることにした。しかし暑い。国道上に日影は無く、ここが山の中であることが信じられないくらいの暑気と日差しの強さだった。

 美和湖の横を通り高遠を通過してゆくが適当な店がない。空腹を抱えて伊那に到着してみると、ここにも眼につく店舗はなくて、そこでメインストリートを走ってレストランを物色していると、ソースカツ丼の幟を出している食堂があった。立派な構えではなくて大衆的な外観だが、この中華料理・田村というお店に入ることにした。

 

 

 伊那名物のローメン

 

 中華料理・田村は町の中華屋さんで、大衆的なメニューが並び、酒のツマミも魅力的なものがあるお店だった。幟の出ていたソースカツ丼にしようかと思ったが、まだ食べたことのないローメンを試してみることにする。普通680円を大盛りの780円にしてお願いした。因みに超大盛りもあるそうだ。

 ローメンは5分ほどで提供された。好みによって甘い米酢をかけて食べると良いと、店主が丁寧に教えてくれる。まずそのままで味わってみると、煮込み焼きそばのような感じで、不思議な、これまで食べたことのない味覚の料理だ。ソース味のスープで煮込まれた、硬めの太い麺は歯ごたえがあり、ボリュームがあって、ほのかにマトンのかほり。マトンはほとんどにおわず、スープも飲める。これは肉が貴重だった昭和の時代に、マトンを使って栄養満点の料理を安価に提供するために生まれた、スタミナ食なのだと思う。だから時代遅れの感は否めず、また食べたいとは思えないものではあった。

 中華料理・田村には馬肉煮込みや馬もつなどのメニューがあり、こちらのほうが美味しそうだったが、これも伊那のスタミナ食、郷土食であろう。店主に見送られて、居心地がよくて親身な接客のお店を後にした。

 権兵衛峠をこえて木曾にむかう。続いて目指すのは木曽福島の北、開田高原にある月夜沢林道である。ここは2007年の奥飛騨ツーリングの際も走ろうとしたが、道路崩落のため走行できなかった林道である。今回は復旧しているであろうと予想して再挑戦に来たのだ。

 16時頃に月夜沢林道の入口に着いた。通行止めの表示はないが、先に行くと残念ながら道路崩落の案内が出ている。やはり通行不能だ。しかし行けるところまで進んでみることにして先にゆくと、昆虫採集の人がいたので道路状況を聞いてみた。その方は60年配の男性だったが道には詳しくないとのこと。しかし虫取りなのに釣竿を出しているので、どういうことをしているのか尋ねてみると、蝶のメスを釣り糸に結んであり、それをオトリにしてオスが来るのを待っているのだそうだ。虫取りにそんな仕掛けをするとはと驚いてしまった。

 進んでゆくと前方からバイクがやってきた。彼は止まってくれて、この先土砂崩れで通れないと教えてくれる。そこまで行ってみるつもりだと答えると、この先で急勾配になるから、その登りきったところで通行止めだと話してくれた。

 

 

 廃道のような月夜沢林道

 

 穏やかな林道がづづく。フラットでとても走りやすいダートだ。やがて林道はT字状に右に曲がり、深い山を登りだす。このT字までは林道は整備されているのだが、この先は通行止めだから荒れていた。しかも凄い急坂となり、そこにゴロゴロの砕石が敷いてあるから走りづらい。ローで慎重に登ってゆくが、ものすごくガレてくる。林道の両脇には夏草が生い茂り、廃道の雰囲気も濃くなって、道も厳しいので、ついに土砂崩れの地点まで行くことはあきらめ、引き返しすことにした。

 上の画像はまだ足場の良いところで撮ったもので、ガレガレの路面は撮影することはできなかった。林道を下ってゆくと3台の250オフロードが登ってきた。それを見て、やはり通行止めまで行ってみようかと考えたが、16時30分を過ぎているので山を下ることにした。 

 ここが今回の最悪の林道だった。進むほどに林道の路面が悪くなるのはどういうことだろうか。そんなところを好んで走っているということか。

 国道361号線で木曽福島にもどってゆくと、二本木温泉の案内が出ていた。国道から外れて山に登ってゆくのだが、ここに寄っていくことにする。こちらは炭酸泉とのことで、小さな気泡がわいている湯だ。風呂につかっていると体中に泡がついてシュワシュワになる、なんともユニークな温泉だった。料金は600円にロッカーが100円。

 18時に二本木温泉を出発したが、遅くなったのでさすがに焦ってきた。18時30分に伊那、18時45分に高遠を通過し、茅野に着いたのは19時15分だった。ガスを満タンにして、宴会用の買い物をしてキャンプ場にもどると20時を過ぎていて、いつものとおり欲張りすぎのツーリングになってしまった。

 

 

 宴会風景

 

 キャンプ会の人数は更に増えていた。申し訳ないが最早どなたが誰なのやらわからない。食材も豊富にあり、何も作らなくても良いと皆さんが言ってくれるが、買ってきたカツオの薬味たっぷりやイカ焼き、インゲンやオクラの料理などを提供した。

 

 

 またしてもカツオのたたき 薬味たっぷり

 

 皆さんにきりたんぽ鍋をいただいたり、天然アマゴの塩焼をいただいたりする。アマゴは山女に比べると上品で淡白だった。そして今夜も鹿肉をいただく。鹿肉は無味無臭だが、じつはこういうところは少なくて、臭くて食べられない部分のほうが多いのだそうだ。この肉は害獣として駆除された鹿のものとのこと。

 

 

 アマゴの塩焼き

 温泉と城めぐりが趣味の方はなんと6カ所の温泉に入ったとのこと。それでは風呂あたりしてしまうのではないかと思うが、他に城も訪ねているからたいへんなバイタリティーだった。

 このキャンプ会は1994年に北海道のキャンプ場で出会ったのが始まりなのだそうだ。それから月日が流れて、独身だったライダーも結婚して家族が増え、新しい参加者も加わってこんなに大人数のキャンプ会になったとのこと。私も北海道で出会った人はたくさんいるが、それはそのとき限りになっていて、その後お付き合いしていることはないから、これはとても珍しくて、特別な集まりなのだと思う。

 

 

 

 やがて参加者の一人がギターを手に歌いだした。子供たちが集まってきて歌を聴いたり、一緒に歌ったりする。何かリクエストはあるかと子供に問うと、嵐、という答えが返っている。すると、残念ながら今日、嵐は入荷してないんですよ、だって。

 生演奏はじつによいものである。聞き入ってしまったが、曲は島歌やアンジェラ・アキの15の君へ、など。歌い終わると他のキャンプ客からも拍手、拍手。

 今夜もまた気持ちよく酩酊していった。

 

 

 

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